総合ディスカウントストアのドン・キホーテ(東京)が8月20日に、8月1日から始めていた薬剤師が深夜にテレビ電話を介在させて行っていた一般用医薬品(大衆薬)販売サービスを月内で中止し、9月からは午後10時~午前5時頃の夜間における緊急な場合に限って無料提供するサービスに切り替えると発表したことにも厚生労働省は医薬品販売店に薬剤師の常駐を義務付ける薬事法に違反する恐れがあると咀みついているが、坂口厚労相は2日、改めて「現在の法律で考えれば違法」と述べ、薬事法に基づく行政指導を検討していることを明らかにした。 |
「ドン・キホーテ」は、騎士物語を読みすぎて分別を失った田舎郷士がドン・キホーテと名乗り、年老いた痩せ馬のロシナンテにまたがり、農夫サンチョ・パンサを従えて旅に出、途中で風車のそばを通りかかったドン・キホーテが風車を巨人と思い込んで戦いを挑み、ドン・キホーテは風車の帆に巻き込まれ、大空高く持ち上げられる災難にあったが、彼自身は敵である魔法使いマルファットの闇の魔法の仕業だと思い込み、マルファットの悪の力と戦うためには、騎士の叙勲を受けなければならないと信じて疑わなかった…というスペインのセルバンテスの名作で、原題は「El ingenioso hidalgo Don Quijote de la Mancha」。 |
総合ディスカウントストアのドン・キホーテは、ショッピングに夢を…ということを店づくりの基本においていているユニークさで知られているが、今回のドン・キホーテと坂口厚労相の戦いは、果たしてどちらがドン・キホーテで、どちらが大きな風車なのだろうか。ドン・キホーテの安田隆夫社長は「飛行機でも緊急時はスチュワーデスが薬を出す。これでも(午後10時~午前5時頃の夜間における緊急な場合に限って無料提供するサービスに切り替える)違法というなら徹底的に戦うしかない」と強気の姿勢。買い手からすればドン・キホーテに味方したくなり、坂口厚労相をマルファットと思いたくなってしまう。 |
深夜に身体がおかしくなったとき、救急車を呼んでも盥回しされることを考えれば、消費者とすれば、ドン・キホーテこそ救いの神。厚労省、坂口厚労相の「医薬品販売店に薬剤師の常駐を義務付ける薬事法に違反する恐れがある」などというのは小泉首相の構造改革内閣の目的からすれば大きくずれている。テレビ電話を結んでお客と応対するというドン・キホーテのやり方は、まさにIT時代にうってつけではないか。厚労省、坂口厚労相こそ、考えを改めるべきである。 |
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