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万引きした子どもは厳しく叱れ
   小さな犯罪を見逃すことによって、大きな犯罪を助長することになる。子どもの万引きなど、その最たるものである。花泥棒もそうだろう。
犯罪でなくても、犯罪を助長するものがある。ペットボトルや缶やごみ、タバコの吸殻などのポイ捨てがそうだ。街を汚し、倫理観を麻痺させてしまう。日本一の山・富士山が観光客の捨てるごみで埋まり、世界遺産の指定が受けられないでいる。
   万引きをした子どもは、子どもの将来と日本の将来のために厳しく叱る必要がある。
今の社会は狂っている。万引きした本や化粧品などを疑いもなく買い取る店さえある。日本の社会は、とにかく狂っている。
昔の日本には,隣組があり、向こう三軒両隣で助けたり助けられたり、悪さをした子どもには隣のオヤジさんやオバさんが自分の子どものように叱ったものだ。今は、自分の子どもさえ叱れないバカ親だらけである。軍国主義を育てたシンボルとして、戦後いち早く消し去られた"向こう三軒両隣"だが、昭和15年に生れた唱歌「隣組」は、この向こう三軒両隣をなかなかに味わい深い歌詞でつづっている。三番目の歌詞などまさに防犯を歌いこんでいる。
   2003年1月に川崎市川崎区の古書店で、漫画の単行本6冊を万引きした中学生が店外へ出たところで店長に呼び止められ、店長が事情を聞いている間に、店員が"万引きがあった"と警察に110番通報、警官4人が駆けつけ、中学生が万引きしたことを認めたために任意同行を求めて店の外に出たところ突然、リュックサックを投げ捨てて逃げ出し、警官の一人が追跡したが、中学生は遮断機の下をくぐって踏切に入り、電車に跳ねられて死ぬという事件が起きた。
   このことが新聞やテレビで報じられると、よくいる偽善者ぶった人たちから、店長を非難する電話などが相次ぎ、このため店長は店を休業したが、休業を新聞などで報じられると、今度は全国からメールなどで激励が寄せられ、2月3日に営業を再開した。しかし結局、6月15日でとうとう閉店してしまった。
新聞報道によれば、店長は"万引きなどを注意しなければいけない仕事は、もういいかな"ともらしているという。営業再開後、中高生ぐらいの男子が本やビデオテープを万引きするところを2回も目撃したが、店長は、捕まえることができなかったという。
   昔の大泥棒、石川五右衛門は釜茹でにされながら"浜の真砂は尽きるとも世に泥棒の種は尽きまじ"と詠んだというが、21世紀になっても泥棒は消えることなく、むしろますます増えている。凶悪化している。それなのに、偽善者が増えている。右の頬をぶたれたら左の頬をだすべきだというのである。
このことは一般に、キリストの教えだと思われているが、どうもそうではないらしい。性善説、性悪説があるが、キリスト教は性善説にたっているように思われているのではないだろうか。
   真実のところは門外漢には知る由もないが、「到知」(到知出版社、平成11年6月号)に作家で日本財団会長の曽根綾子氏と元「主婦と生活」編集長の清原美禰子氏が対談した記事中で、清原氏の「曽根先生は他人が言わないキリスト教の隠された真理をずばっと表現なさる」との問いに、
曽根氏は「それは、いい先生から聖書を学べたからだと思います。キリスト教は性悪説だから、私には楽なんです。人間というのは、そのままにしておけば簡単に堕落するという話が聖書にはいっぱいありますし、随分いいかげんな人間も登場しています。聖書はそれも踏まえて、人間は信仰とか、その人にないぞうされた徳性によって人間を超えた偉大な存在になれる、としているんですね」と答えている。
   また、清原氏の「日本財団でも、その性悪説をご開陳なさったとか‥」と聞かれて、曽根氏は「仕事をするときは、人を見たらドロボーと思いなさいと、皆さんに言いました。びっくりしたようですよ。日本財団は世界一の規模で、大変なお金が動いています。競艇の売上げが1日10億円あったとすると、3千3百万円が即座にうちにはいってくるわけで、人さまのお金をお預かりしている以上は、絶対に人をドロボーと思って用心して大切に使わなければいけない、ということでお話しました」と答えている。
   これこそ危機管理の真髄である。偽善者の甘ったれた性善説など、防犯に役立つどころか、犯罪を助長させる何者でもない。
万引き少年を見つけたら、厳しく叱るのが正しい。逃げて、踏切に入って、電車に跳ねられて死んだら、自業自得である。
東京駅のコンビニで万引き犯を追いかけて刺し殺された店長がいた。店長を刺し殺した犯人は、最高裁までいっても死刑になることは絶対にない。実刑をくらっても、10年も経たないうちにシャバに出てくるのは間違いない。それで、いいのだろうか。
   店側も考えてもらいたい。昨年(平成14年)1年間に警察に届けられた万引き件数は、前年対比111%の14万2件だった。1日当たり全国で383件である。1店当たりではない。全国には約140万軒の小売店があるといわれている。140万軒で昨年の万引き件数をザッと計算すると、1店当たり年に0.1件でしかない。こんな数字なのだろうか。
   たしかに万引きとは無縁の店舗もあるだろうが、1店当たり年に0.1件というのは少ないだろう。多くの店が万引きを見つけても、後々の面倒さやらお礼参りなどを思って"説諭"して帰したり、親や学校に連絡して警察に届出しないことが多いことが、こういう数字になっている。昨年の14万件を実態と思ったらミスしてしまう。今年は5月までに前年同月比0.1%増の57,183件が警察に届出されている。1日当たり全国で約380件である。
   犯罪をなくすには、万引きをなくすためには、"罪を憎んで人を憎まず"ではなく、"罪も人も憎む"ように意識を変えなければいけない。万引きを小さな犯罪と思ってはいけない。子どもの万引きを、子どもの将来を考えてといった間違った温情で見逃してはいけない。厳しく注意し、そして"お巡りさんは怖い"と思わせなければいけない。お巡りさんを怖いと思っている中高生がどれほどいるだろうか。
深夜の盛り場で中高生たちを補導するシーンがテレビで放映されることがあるが、中高生たちに軽くあしらわれている。これでは犯罪はなくならない。
   東京駅のコンビニで店長が刺し殺されてから、店に設置されているEAS(電子商品監視装置/万引き防止装置のこと)が万引きを感知してアラームを鳴らしても声を掛けないとか、アラームが鳴らないように装置の電源をきってしまっている店も多いという。
これでは万引き犯にバカにされてしまう。"アソコは万引きしても大丈夫"との評判がたってしまったら、取り返しがつかない。万引きされまくり、店がつぶれてしまう。このことを怖がらないで、万引き少年を怖がる理由がわからない。万引き少年の将来と、日本の将来のために、万引き少年は厳しく叱らなければならない。


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