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従業員に目が行き届いているか

警察や教師、銀行員をはじめ警備員などの信頼・信用度がまったく地に堕ちてしまった。警察官が万引きしたり同僚の家に侵入してドロボーしてニュースになっても今や誰も驚かない。教師もそう、銀行員もそう、警備員にしても同じである。自分の成績をあげるために子どもに万引きを強要する警備員もいた。現金輸送車から平気で大金を盗む警備員がいる。捕まるとローンがあって生活が苦しい、ギャンブルでサラ金に借金があって…とか言い訳している。
同じように、勤めている店から現金や商品を盗んだり、金庫のあり場所や、その金庫に何時頃・幾らお金が入るか、夜間金庫に何時頃・誰が持って行くかなどの情報を教える従業員もいる。
こういう悪さをする人の原因は決まっている。借金でクビが回らない…。だいたい、こういう人は側にいれば分かる。注意をすればいい。ところが多くは「まさか、あの人が…」ということになる。目が向いていないからである。
ゴルフ場を舞台にしたスキミングによるキャッシュカード偽造事件でテレビや新聞は持ちきりだが、グループの手引き役とされる群馬県富岡市のゴルフ場支配人遠山秀樹容疑者(51)は、貴重品ロッカーのマスターキーを渡して偽造グループに協力しただけでなく事件の存在を隠し、発覚を遅らせる役割も果たしたとみられている。
遠山容疑者が勤務していた「レイクウッドゴルフクラブ富岡コース」では昨年夏以降、利用客からスキミング被害に遭ったなどとする苦情や相談が相次ぎ10月までに5件寄せられ、このうち3件は同容疑者が自ら客への対応をしていたという。
また、遠山容疑者は昨年10月に富岡コースや系列の3ゴルフ場の支配人が集まった会議に出席し、各地で続発するスキミング被害が話題に上った際に「うちでは被害はない」と発言し苦情などがあることを隠していたという。
このようなケースは、アチコチにあるような気がする。内引き(内部不正)があるにもかかわらず、これを上(社長)に報告しない、だから上(社長)は内引きはないと信じてしまっている…。
レジから少々の現金を抜くというケースは下っ端のやること、大きく内引きするのは店長、店次長、マネージャーなど幹部という話をよく聞く。幹部が上(社長)への報告を内緒にしたら、どえらいことになる。
上は下に目が行き届いているだろうか。案外と、この逆ではないだろうか。上は下に見られていないか。下は、上のくすぐり方を熟知している…。だから、悪い情報は上に上げない。それで、上は油断大敵。
アメリカの資料によると、小売店の商品ロスの原因は「48%が内引き、32%が万引き、15%が管理ミス、5%が納入業者の不正」であり、「内引きによる窃盗の金額は15億ドルを少し超える金額」で、これは「アメリカ市民による年間窃盗罪金額を超える額」だという。
そして業態別の内引きの割合はコンビニ82.5%、スーパー59.0%、紳士向け衣料57.7%、事務用品・文房具57.4%、一般電化用品・家電57.3%、子供服55.0%、宝石52.5%、ディスカウントストア52.1%、靴51.2%、その他衣料50.0%、婦人向け衣料49.6%、スポーツ用品47.6%、総合デパート45.6%、ホームセンター42.0%、贈答品41.4%、ドラッグストア40.4%、書店33.3%である。(フロリダ大学02年資料)。
上がネジを締めれば下もそれに従ってネジを締める。いまこそ上は心を引き締めなければならない。上に、そのように決意させることこそセキュリティ担当者の大きな絶対の責務である。
(by 佐藤 伸)
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