書店の万引き防止に火と燃えていることで書店業界で知らぬ人は居ない名古屋の三洋堂書店の加藤和裕社長が、愛知県書店商業組合の理事に選任され、新設される万引き防止問題委員会の担当になる段取りである。13日に開かれる第21回通常総会で決まる。 |
書店の万引きで代表的なのは、コミック本の大量万引き。1日に50冊も万引きされることは珍しくないという。朝に入荷したコミック本の第22巻を13冊、別のコミック本を7冊、いっぺんに盗まれたという話を最近聞いた。 |
万引き犯の狙いは、ずばり「換金」。万引き犯が盗んだコミック本を持っていく先は新古書店。ここの存在がコミック本大量万引きの温床となっていると言われて久しい。 |
加藤社長は、全国的に同業者・同憂者をグループ化した「タグ&パック」を作って、この問題に取り組んできている。現在は、新古書店の買取りを規制すべきだとして、新古書店が安易に盗品換金できなるなるよう古物営業法の改正を働きかけるため「日本書店万引き問題協議会」への衣替えを模索している。しかし、問題の重大性に全書店が肌で知りながら、リーダーであるべき書店組合の動きとなると前向きどころか後ろ向きの姿勢である。 |
加藤社長は、先に日本書店万引き問題協議会の会長に日書連(日本書店商業組合)の萬田貴久会長に就任を要請したが(2月6日)、萬田会長からは日書連の当面の方針は、青少年健全育成条例の改正問題と運用強化にあり、古物営業法の改正は、13種類に区分された古物の取扱い業者が多数おり、なかでも古書籍商業協同組合が法改正に難色を示していることから取り上げにくい問題であるとして会長職就任を断り、日書連としては、JPIC(財団法人出版文化産業振興財団)が、平成12年3月に業界4団体構成による万引き防止のための流通改善委員会、同実行委員会を設置、その後には業界4団体と21世紀コミック作家の著作権を考える会による万引き打合会を設置している経緯からして、日本書店万引き問題協議会をJPICの中に置くことが適切だと提案した。 これを受けて加藤和裕社長は3月6日、JPICの鴻巣事務局長に対し、菅徹夫理事長宛て「日本書店万引き問題協議会事務局業務委託のお願い」を提出したが、進展はない。 |
こういう時にあって、愛知県書店商業組合は加藤社長を理事に選び、新設の万引き防止問題委員会の担当に据えようというのだから、同商組の役割・責任は大きい。加藤社長に対する同商組の役割・責任の1つは、日本書店万引き問題協議会構想への後押しである。これさえ得られれば、加藤社長はますます張り切って問題解決にエネルギーを注ぐのは間違いない。加藤社長は、理事になることについて、『書店組合活動禁止の家訓を破り…』と語っているが、思いは火と燃えている。今後の更なる運動を大いに期待したい。 |
(by 佐藤 伸) |
|
「加藤社長(三洋堂書店)が愛知書店商組の理事へ」は >こちらに記載しております |