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万引きにからんだ2つの裁判に思う「温情」と「厳正」と「仮釈放」
「万引き」と一口にいっても、動機も手口も事後も様々である。愉快犯的な動機もあれば、ビジネス感覚で裏マーケットに流すケースもある。本当にその日を生きるために万引きをしたケースもある。見つかって涙を流すケースもあれば、刃物で刺し殺してしまうこともある。EAS(電子式商品監視装置/万引き防止装置)が万引きを検知してアラームを鳴らしたとき、知らん顔の店もあれば、少ないもののすぐに店員が飛び出しいてくるところもある。最近、2つの万引きが原因の裁判があった。
1つは大阪で。生活苦からパンなどを万引きしたとして、窃盗の罪に問われた大阪府内の女性被告(47)に対し、大阪地裁は10月29日、懲役1年執行猶予5年(保護観察付き)の判決を言い渡した。杉田宗久裁判官は言い渡し後に被告が退廷するとき、一段高い裁判官席から身を乗り出し、被告の手を握って「もうやったらあかんで。がんばりや」と声をかけた。被告はその場で泣き崩れ、「ありがとうございます」と答えた。その後、被告は帰りを待つ2人の子供のもとに戻った。
判決によると、被告は今夏、大阪府内のスーパーで、パンや清涼飲料水など食料品(約3,000円相当)を万引きした。被告は生活保護を受け、別の店で働きながら10代の2人の子供と一緒に暮らしていた。しかし、数年前に家出した夫の借金の返済に追われ、生活は困窮していた。
被告は00年にも同様の盗みの罪で有罪判決を受けており、犯行時は執行猶予期間中で、再犯で再び執行猶予となるのは異例。杉田裁判官は「本来は実刑もやむを得ない」と指摘。そのうえで、子供にひもじい思いをさせたくないと考えて犯行に及んだ。実刑になれば、学校に通う2人の子供の生活が行き詰まってしまうことなどを考慮し、被告にもう一度社会での更生の機会を与えた。
2つ目は東京で。昨年7月、JR東京駅構内のファストフード店長、桶田順彦(まさひこ)さん(当時33歳)を刺殺したとして、強盗殺人罪に問われた無職大森秀一被告(35)の控訴審判決が7日、東京高裁であり、仙波厚裁判長は「店長の職責を果たそうとした前途有望な若者の命を奪い、社会に大きな衝撃を与えた、凶悪で重大な犯行で、1審の量刑は軽すぎる」として、懲役15年とした東京地裁判決を破棄し、無期懲役を言い渡した。
1審は、大森被告が犯行から3日目に自首した点について「捜査に貢献したことは否定しがたい」と認定したが、仙波裁判長は「捜査機関は被告の氏名を特定する寸前だった。犯人特定の見込みがまったく立たない段階で自首したようなケースとは違うのに、1審は被告に有利な事情として過大評価した」と指摘した。
裁判内容の是非は門外漢ゆえに差し控えるが、感想をいえば、大阪では温情が示され、東京は厳正なものだったといえよう。血の流れを感じない判決だと不満に思うことが時々あったが、最近の、この2つの判決には、司法も人らしくなったかと唸ってしまった。
“法に照らして”というが、これまでの裁判では、どちらかといえば、加害者に甘いという印象が強かった。また、懲役刑を受けても、塀の内に満期通りいることはなく、刑法28条(有期刑についてはその刑期の3分の1を、無期刑については10年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に出獄を許すことができる)を適用して仮釈放でシャバに出てこれる。無期懲役といっても、実質20年で出てこれる。
日本は、刑罰が最も軽い国である。こう云えば、死刑制度を廃していない数少ない野蛮な国だと一部の人は反論するだろうが、死刑が執行されるのは年にせいぜい数人である。これでは被害者は浮かばれない。来日外国人、とくに来日中国人による凶悪犯罪が増え続けている。捕まった来日中国人が「中国では年間3千人以上も死刑になるが、日本はほとんど執行されない。しかも日本の刑務所は3食付きで、給金も貰える。日本で捕まってもどうということはない」と話しているという記事を読んだことがある。
万引きにからんだ2つの裁判で色々なことを思ったが、事件を起こさせない確実な防犯対策はないのだろうか。


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