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コメ泥棒に思う“他山の石”ニュースにならなくなったコメ窃盗事件
この1、2ヶ月、連日のようにコメ泥棒を中心に農産物が盗まれる事件が発生し、ひと頃は新聞の社会面を賑わしていたが、いまでは“またか”というわけで、新聞の社会面に出ることも少なくなり、見出しも小さくなって目立たなくなっている。冷夏の影響か米だけでなくサクランボ、巨峰、スイカ、リンゴ、ナシ、白ネギなどとあらゆる農作物が被害に遭い、農家の人たちはおちおち眠れないだろうと案じてしまう。食糧難だった終戦直後ならまだしも、こんな犯罪が多発するのは、やはり不況なのだろう。
やすやすと農産物が盗まれているが、農村地帯は以前から鍵知らずの生活を送っていて防犯感覚が稀薄で、そこが付けこまれているといっていい。“他山の石”から無縁である。他山の石-とは、“よその山から出た粗悪な石でも、自分の宝石を磨くことができる”という意味の中国の「詩経」にある“他山の石以って玉を攻(をさ)むべし”という言葉に基づくもの。“よその出来事や自分に対する批評が、自分の知徳を磨く助けとなる”という例えである。“人の振りみて我が身を直せ”というわけである。
横行するコメ泥棒に日本人の防犯感覚を今さらのように感じて暗たんとしていたところ、「センサーが撃退、ナシ窃盗容疑者逮捕/神奈川・藤沢市」というニュースに接した。神奈川県藤沢市で畑のナシを盗んだとして、解体工の男が窃盗の疑いで逮捕された。農家が約30万円かけて設置した、自宅のアラームが鳴る仕組みの赤外線センサーが役に立ったというのである。農家では今夏、収穫期のブドウ約100房を盗まれた。このため畑の入り口付近に侵入者の動きを察知すると自宅のアラームが鳴る仕組みの赤外線センサー2個などを約30万円かけて設置したということである。
こういう農家のような人たちばかりなら、問題点はあるが、日本の治安は良い方向に向うに違いない。問題点というのは、次のような点である。(1)センサーを設置しても、5分以内に駆けつけられる警備会社がどれほどあるのか、(2)前記の神奈川・藤沢市のようにセンサーを自宅で受けるようにした場合、自分で駆けつけて身の危険はないのか、という点である。こういうことを考えると、センサーだけでなく、監視カメラを取り付けて異常があったときの映像は必ず録画し、警察に提供して捕まえる手助けをした方が良いのではないだろうか。
とにかく、神奈川・藤沢市であった、このニュースを“他山の石”として、自衛の方向に動いてもらいたいものである。同時にまた、道徳観を高めてもらいたい。自分で食するために農産物を盗んだケースもあるが、転売目的もある。盗まれたコメだなと感じたら買い入れないという道徳観が求められる。
盗まれたコメの大半はヤミ市場で売買されているといわれているが、実態はなかなかつかめない。安売り店に持ち込む、ブレンド米に混ぜる、インターネットのオークションに出しているのではないかと推測する向きもある。コメの行方が明らかになるケースは少ない。収穫後、農家の倉庫から盗まれるコメは、まだ出荷検査を受けていない。未検査の「計画外流通米」として扱われ、自由に様々な取引ができるため追跡は難しいのである。
盗まれたコメは、ブローカーが仲介し、ヤミ市場に流れていると思われる。相場を大幅に下回るコメが売られている例もあり、原価割れのコメは盗品の可能性が高いとみるのが順当だろう。善意の第三者を経由すれば盗まれたコメでも問題なく流通してしまう。そうなったら誰にもわからない。
9月末頃に次のようなニュースがあった。これも“他山の石”としてもらいたい。
東京都内のコメ小売店の前にとまった軽トラックから、50代の男が親しげにコメを買わないかと声をかけてきた。どんなコメかと店主が聞くと、男は見て決めてよと応えたという。トラックには30キロ入りが20袋ほど積んであった。コメを見ると、確かに新米の艶をしていた。ただ袋は03年産ではなく、02年産用の古いものだった。店主は盗品だと感じ、素性が分からないコメは扱えないと断ったという。男は、そうと一言残し、男はすぐさま立ち去ったという。


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