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“万引き”を減らすには悪事は小さいうちに芽を摘み取ることが大事だと決心す ること
   “万引き”をなくすには、どうしたらよいのだろうか。方法は、あるのだろうか。いま、多くの様々な業態の店舗が万引きに悩まされている。商品が盗まれる心配だけでなく、従業員の身を心配する経営者も多くいる。お客と直接接している従業員も真剣に万引き防止を考えている。その一方で、店舗の事務方の中に、それも役付き幹部が万引き防止に切実感がないという意見を聞くことがある。これでは、万引きはなくならない。もっとも、人間の性からすれば、浜の真砂が尽きることがあっても万引きがなくなることはないだろう。せいぜい、減らすことしか出来ない。
   では、どうすれば、減らすことが出来るだろうか。減らすことは可能だが、今の有り様では、不可能だといえる。一つには、肝心の店舗側の思いや対応が一枚岩になっていないからである。加えて、万引きを減らすのに効果のある監視カメラやEAS(電子式商品監視装置/万引き防止装置のこと)のメーカー・販売業者に、商品を売る気持はあっても万引きを減らすために-という気持が希薄で、効果的な設置・運用が行われていない。
   例えば、監視カメラだが、万引きの手口をしっかり撮影することができない。ほとんどが固定式であり、装着しているレンズも広角で万引きの瞬間の手許は撮影できない。証拠写真にならない。おまけにモニタリングしていない。万引きがどういうものか、を知らないとしかいえない。
   EASにしても、声掛けが極めてお粗末である。アラームが鳴ったとき、キチンと声掛けして応対できる店員がどれ程いるだろうか。EASのゲートがアラームを鳴らしたとき、どういう声掛けをすべきか、店員に声掛けの仕方を教えている店舗がどれ程あるだろうか。EASのメーカー・販売業者で、それを教えているだろうか。
   防犯ミラーを販売している業者も多いが、防犯ミラーの効果的な使い方を教えているだろうか。防犯ミラーを、活用しているのは、まさに万引きしようとしているプロだけではないだろうか。防犯ミラーに視線をやる店員が、どれ程いるだろうか。疑問である。
   ある程度、監視カメラ・EAS・防犯ミラーを使いこなすことが出来ても、万引きを減らすことは出来ない。万引きを減らすためには、監視カメラ・EAS・防犯ミラーなどを使いこなすと共に、万引きを見つけたら、その場で注意することが必要である。店員だけでなく、お客の立場であっても、万引きを見たら注意する、このことが広く当たり前のようにならなければ、万引きはなくならない。“ガードマンじゃないから見ない振りをした”などとということでは、万引き犯をのさばらせることになる。しかし、残念なことに、これが今の実態である。
   警察庁の資料によると、昨年1年間に全国で認知された万引きは14万2件で、10万849人を検挙している。92年の6万6千8百52件に比べ、10年間で倍増している。背景には、①中古市場の拡大で転売が容易になった、②夜間営業店の増加などがある。万引きする人間は、少年や若者だけでなく、育児に悩む主婦、不況下でストレスをためた会社社長らが小額商品の万引きするケースもある。警察官さえ万引きすることがある。万引きの被害を、とくに多く受けているのがドラッグストアやビデオ店、書店などである。
   千葉県警捜査3課と八日市場署などは7月24日までに関東を中心とする1都8県のドラッグストアなどから大量の医薬品や化粧品を万引きしていたとして、横浜市南区の無職男性(31)ら少年少女3人を含む男女計10人を窃盗容疑で逮捕、持ち込まれた医薬品などを無許可で保管していた東京都荒川区、古物商(71)ら男2人を薬事法違反の現行犯で逮捕した。
   同課は、グループの男2人が持っていた万引きの日時や場所、盗んだ品物が書かれた日誌を押収。裏付け捜査を進めた結果、この2人だけで約870件、総額約6千万円に上る犯行を重ねていたことが判明した。被害総額はさらに膨らむとみられている。グループは001年頃から、東京、神奈川、千葉などの大型ドラッグストアに2人1組で客を装って入り、風邪薬や胃腸薬などの医薬品、化粧品などを買い物カゴに入れたまま店外に持ち出す手口で万引きを繰り返していた。盗んだ商品は、荒川区内などの倉庫に持ち込んで保管し、業者に転売していた。
   万引きのやり方も、巧妙に大胆になり、他の犯罪と同じように実行犯や見張り役など役割を分担した上で犯行に及ぶことが増えている。万引きをなくすためには“温情”は捨去る必要がある。子供だから、生活が苦しそうだからなどと哀れんで説諭だけで帰しては、万引きは増える一方である。罪を憎んで人を憎まずという言葉があるが、この言葉がどれ程、犯罪人を増長させてきただろうか。万引きは悪いこと、犯罪である、犯罪を犯したら刑罰を与える、罪に見合う償いをさせる-。これを実行しなかったら万引きはなくならない。
   学校は夏休みで、小中高校生が心配である。ドラッグストアやビデオ店、書店などで小中高校生をみたら疑ってかかる必要がある。小中高校の先生たちは、本当に生徒のことが心配だったら、夏休みの間、生徒がおかしなことをしていないか、おかしなところに出入していないか見回るべきではないだろうか。
   万引きをなくすことは出来ないが、全てが一体化すれば減らすことが出来る。日本が犯罪神話を取り戻すためには、万引きを小さな出来事だと見過ごさないで、悪事は小さいうちに芽を摘み取ることが大事だと決心することである。


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