民放連(日本民間放送連盟、日枝久会長/フジテレビ会長)は、消費者金融のテレビ・コマーシャル(CM)を、10月から児童向け番組や民放各局が選んだ「青少年に見てもらいたい番組」や子供が主体となるスポーツなどなどのイベント番組では放送しないことを今月17日の理事会で決めた。従来は、児童向け番組に限っていた自粛対象を拡大したという。 |
このこと自体は歓迎すべきだが、以前では考えられなかった犯罪が次々と起きている原因を考えると、民放連は今回の措置だけで良いのだろうか。かつて大宅壮一氏は、テレビの普及で国民の総白痴化が起こると警鐘を鳴らしたが、冷静に見てテレビはたしかに国民を総白痴化したといっても良いだろう。放送局は全ての番組をチェックし、これで良いか、全面的に反省すべきである。 |
同時に、紙媒体も、編集・営業方針を見直すべきである。新聞社系・出版社系といえども月刊・週刊誌の品の悪さは、どうだろうか。バブル期に銀行は、土地を担保に金儲けに走った結果、今の不良債権を抱え込んで国民に多大な迷惑を与えているが、月刊・週刊誌はヌード、ヘヤーヌードを担保に雑誌を売り込み、挙句の果てに逆に部数を減らしている。いまの月刊・週刊誌には文化の香りもない。 |
テレビが、月刊・週刊誌が日本人をバカにした具体的な数字的データは持っていないが、良識をもった国民は、そう感じていると思う。鴻池防災担当大臣の発言が問題になっているが、大方の人は“一部に不適当なところもあるが、たしかにそうだ”と思っているのではあるまいか。そうでなければ、日本に将来などない。 |
ところで、日本を駄目にしたのは、特に犯罪大国にした元凶はテレビ、月刊・週刊誌かといえば、そうではないと思う。国の基本法である憲法でさえ、統治者に都合のいいように読まれ、教育をほったらかしにし、自分で責任がとれればと子供を放縦に育てた親、全ての人に責任がある。今の日本人の心の支えは、何だろうか。心の支えがないから、心が荒れ、切れやすく、事件を起こすことになるのではないか。 |
日本を以前のような安心して安全に住める国にするためには、干渉するということではないが、はるか以前の“向う三軒両隣”ではないが、味噌・醤油や米までも貸し借りし、隣の子でもおかしかったら注意し、誰彼となく挨拶を交わして、不心得者をたじろがせるコミュニケーションが必要ではあるまいか。(佐藤 伸) |