歩行者のバッグを狙ったり自転車の前かごからバッグを盗むといったひったくり事件が多発していることにより、各警察は、自転車の前かごには防犯カバーを付けるように啓もう・指導しているが、これがなかなか守られず、相変らず走行中の自転車の前かごからバッグなどを盗まれる事件が続発している。日本中、安全な地域がなくなってしまった。 |
なぜ、こうなってしまったのだろうか。 新聞報道によれば、7月15日午後7時半頃、東京都板橋区の警視庁女性巡査が自転車で実家に帰る途中、埼玉県東松山市材木町の市道で、後ろから来た乗用車の助手席の男に、前かごに入れてあった警察手帳や現金約9万円の入ったバッグをひったくられたという。前かごに防犯カバーを付けていたとは思えない。勤務で警邏しているとき、前かごに防犯カバーを付けていないのを見たら、職務柄恐らく注意するに違いないだろうが、プライベートの時間で自分のこととなれば、油断して職務のことなど忘れてしまう。 |
今年5月15日午後7時10分頃、大阪市北区梅田1の大阪駅前第1ビル2階の監視カメラ販売会社に男が侵入、一人で仕事をしていた店長の女性(28)が両手を荷造り用のロープで縛られ、間もなく後から現れた別の男と共に、事務所にあった監視カメラ数台と金庫から現金約30万円を奪われるという事件も起きている。 |
セキュリティ機器を販売している会社がドロボーに入られる“みっともない”事件は結構多く起きている。警備員が警備先で事件を起こしている。事件の陰で犯罪のレポ先になっていることがある。仕事に実が入っていない。 |
子供が子供を殺すのは今どきの親の責任を問う意見があるが、これは当たり前すぎる意見だが、対策・改善策になっていない。政治家の責任、国の責任、統治者の責任がみえない。相変らず、電車やバスで携帯電話は使わないでというアナウンスが耳にうるさい。携帯電話のこの問題は使用者の責任でなく、国の責任、統治者の責任である。政治家は電車やバスに乗らないから、このようなアナウンスを聞いたことがないとでも言うのだろうか。とにかく、お手本となるべきプロが犯罪被害の当事者になっている。また、質すべき当の責任者が何も感じないのでは、悪弊が改まるはずがない。 |
それでも日本の治安を良くするためには体感治安をプラスに持っていく、そのための方策として地域社会が連合する、その運動を模索していたとき、朝日新聞(7月18日34面、第2埼玉)に、“これだ!”という記事が載った。 「役所・警察・企業 地域安全で連携深谷で県内初協定」という見出しで、内容は次のとおりである。 『安全な地域づくりのため、市職員や企業の社員らが仕事中に見かけた犯罪や事故情報を警察署に素早く知らせることを定めた協定が16日、深谷市で調印された。「深谷地域安全防犯情報ネットワーク」で、深谷署と市、深谷郵便局、JR東日本深谷駅、東京電力、埼玉りそな銀行、日本通運の深谷支店、埼玉グランドホテル深谷が結んだ。 特定の業界団体だけでなく幅広い企業がこの種の協定を警察署と結ぶのは県内では初めてという。夜道のひったくりや路上強盗、痴漢、ピッキングによる空き巣狙いに子供が犠牲になるむごたらしい事件…。 物騒になる一方の世の中に、「何か、いい手はないか」と新井家光市長と新井清署長が交わした雑談が協定のきっかけになった。署員のパトロール強化だけでは限界があるため、市や企業の力を借りることにした。侵入盗、ひったくり、車上狙いや誘拐といった犯罪だけでなく、交通事故や子ども・高齢者ら保護を必要とする人の情報も想定している。
協定の通称は「深谷」「防犯」「情報(information)」の頭文字を取って「FBI」。多くの「目」が地域に光ることで、防犯や犯罪の早期解決につながることを期待している。』 |
最近、東京都が「東京都安全・安心まちづくり条例」を制定した。また、多くの市町村が官製で「生活安全条例」を制定している。生活安全条例の主な内容は、①自治体及び住民が実施すべき生活安全対策、②生活安全対策の実施とその協力、③生活安全のための活動を行う団体への援助、④生活安全推進協議会の設置などである。しかし、生活安全条例を制定した市町村民が、制定したこと自体を知っているか疑問に思う。下からの盛り上がりでなく、条例(法律)によって事実上、上から警察への協力義務を課し犯罪の防止を図るというのは良くない。なぜなら、上から条例を押し付けても犯罪が抑制できるとは思えないからである。 |
その点、深谷地域安全防犯情報ネットワークは、深谷市と深谷署、深谷郵便局、JR東日本深谷駅、東京電力、埼玉りそな銀行、日本通運の深谷支店、埼玉グランドホテル深谷が、仕事中に見かけた犯罪や事故情報を警察署に素早く知らせることを定めた協定を結んだという点がいい。今後、ほかの市町村でも連携する企業を数多くして防犯に取り組んでもらいたいものである。(佐藤 伸)
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