富士通ならびに富士通フロンテックは14日、このほど小売業向けのセルフレジシステムを共同で開発し、10月3日から富士通より「セルフチェックアウトシステム」として販売を開始すると発表した。米国で展開中の製品を日本向けに改良、人件費削減を狙う流通業界に売り込むもので、両社は07年度に量販店用レジの2%にあたる5,000台が無人型に置き換わるとみており、その半分のシェア獲得を目指す。なお、本システムは、今年9月からスーパーのオークワ(本社:和歌山県和歌山市)が先行して導入した。 |
本システムは、買物客が自分で購入する商品のバーコードを読み取らせ、現金もしくはカードによる精算を行うもの。買物客が商品の価格を確認しながら、その場で袋づめも行うため、買い物時間も短縮できる。また店員一人で複数のセルフレジの操作サポートが行えるため、店員を効率的に配置でき、より充実した接客サービスに向けた要員シフトも可能になる。これにより買物客の満足度の向上とともに、店舗運用の効率化が可能になる。 |
近年、流通業界では、外資系スーパー、ホームセンター、量販店、専門チェーンの台頭により競争が激化しており、企業競争力強化のためにはサービスの差別化と店舗運用の効率化が急務となっている。このような状況を踏まえ、両社は海外での豊富な導入実績と国内で長年培ってきた流通業向けのPOSシステムなどのノウハウを融合したうえで、日本の買物客のニーズを取り入れ、国内の店舗環境に最適化したセルフチェックアウトシステムを提供するもの。 |
セルフチェックアウトシステムの導入により、レジでの待ち時間を削減するとともに、接客サービスへの要員シフトを図ることで買物客満足度向上が実現する。また、レジ業務に関わる人件費、教育費などの運用コストが1セット当たり年間400万円から600万円程度削減できると想定されている。 |
富士通グループは、本システムを始めとする現場業務を変える新しい製品・サービスの提供を通じて「フィールド・イノベーション」を実現し、ユーザーの経営課題の解決に貢献していくとしている。 |
本製品の特長は次のとおり。 |
(1)使いやすさ、デザイン性を追求した「カスタマーステーション」 |
買物客自身が商品のバーコードスキャンから支払いまで操作する端末「カスタマーステーション」は、レシートプリンタ、ポイントカード・クレジットカードリーダなどの操作部を右側に集約したことで、自然で直感的な操作が可能。また、ガイドランプによるサポートを行うことで初めて利用する買物客も容易に精算できる。 |
(2)買物客の円滑な操作をサポートする「アテンダントステーション」 |
「アテンダントステーション」では、同時に4台のカスタマーステーションの動作確認、エラー解除、イレギュラー対処などの操作・管理ができる。これにより買物客の円滑な操作をサポートするとともに店員配置の効率化が行える。 |
(3)「GlobalSTORE」との連携による高度なサービスの提供 |
量販店様向け有人レーンPOSシステムパッケージ「GlobalSTORE (グローバルストア)」をインストールしたPOSと「アテンダントステーション」「カスタマーステーション」を連携することで、「カスタマーステーション」でのレシート切れや釣銭切れ時にも「アテンダントステーション」からワンタッチで有人レジ画面(GlobalSTORE)を呼び出して、「アテンダントステーション」で取引を継続させることができる。 |
販売価格は、アテンダントステーション1台とカスタマーステーション4台のセット価格で1,500万円から。両社では、2007年度末までに売上100億円を見込んでいる。 |
本製品の主な仕様(カスタマーステーション)は次のとおり。 |
・ディスプレイ:TFTカラーLCD 15インチ(タッチパネル付き) ・プリンタ:1ステーションプリンタ ・固定スキャナ:多方向読取方式、縦型マルチヘッドスキャナ ・タッチスキャナ:ハンディタイプ、大型商品読取時使用 ・硬貨・紙幣現金機 鑑別機能、リサイクルタイプ ・サイドテーブル:1バッグ、2バッグ、4バッグ ・カメラ:CCD方式、手元操作確認用 ・サイズ(幅x奥行x高さ): 1バッグ:1343x700x1400(ミリメートル) ・2バッグ:1693x700x1400(ミリメートル) ・4バッグ:1693x870x1400(ミリメートル) |
▽セルフチェックアウトシステムの市場動向 |
欧米の流通業では、すでに本格的な実用段階にあり、現在大手量販店などを中心に普及の途上にある。富士通では、米国子会社富士通トランザクションソリューションズ社(FTXS社、本社:米国ダラス)がグローバルな製品提供を行っている。国内の小売業でも2003年からパイロット運用を開始しており注目を集めている。 |
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