セキュリティ・ショーが終わった。ヤレヤレとホッとした心境である。東京ビッグサイトは、まさに劣悪な環境下にある。4月19日~21日にソウルでセキュリティ・ショーが行われるが、会場のCOEXは、交通アクセスだけでなく、食事するスペースも十分。台北も上海もいい。東京ビッグサイトは“国際展示場”という看板は降ろしたほうがいい。交通アクセスだけでなく食事をする場も、きわめて貧弱。 |
英国のIfsecは5月にバーミンガム市の常設会場・NECで開かれるが、ロンドンからは遠いとはいえ、バーミンガム駅で下車してしまえば、雨が降ろうと槍が降ろうと、どうということはない。4日の朝、会場入りするのに横殴りの雪に泣かなかった人は居ないはず。 |
Ifsecでは見終わって足がどんなに痛かろうが、会場を出れば駅まで動く歩道に乗ってスイスイ苦もなく行ける。ロンドンから車で行っても、帰りに会場を出るまで30分、橋を渡るまで1時間などということはない。 |
アメリカのISCもASISも交通アクセスは極めていい。春のISCはラスベガスだし、夏のISCはニューヨーク。ラスベガスは会場まで歩いていけるし、ニューヨークはタクシーでスイスイ。ASISは毎年、会場を変えて有名な観光地か大都市で開き、交通アクセスも会場内で食事をとるのも東京ビッグサイトのようなことはない。今年は9月にオーランドで開かれるが、ここも見に行ったほうがいい。 |
今年のセキュリティ・ショーは会場が広くなり西ホール1、2に変わったが、ここまで規模が大きくなるとセキュリティ・ショートして単独で開くべきだろう。今回、セキュリティ・ショーに入ってしまった人は、東ホールで開かれたジャパン・ショップ、リテールテック、ICカードなどの会場には、恐らく行けなかったはず。 |
リテールテックに出展した富士通ブースを多くの人に見てもらいたくで、多くの人に教えたが、ほとんどの人が“時間がなく…”だった。一緒に行ってご案内したのは店舗関係の4社だけ。 |
富士通ブースでは、出展された富士通フロンテック、富士通、富士通研究所、日本板硝子が共同で開発した国内初のUHF帯RFIDタグに対応したリーダ・ライタ用ガラスアンテナを見てもらいたかった。なぜなら今春予定されている総務省令の改正によるUHF帯域開放にいち早く対応したものだから。万引き防止装置の業界地図が塗り替わるはずだから。セキュリティ・ショーに出展されていた従来タイプの万引き防止装置がいささか色あせて見えた。 |
セキュリティ・ショーでは、西1ホールから入った人は、ウンザリした人が多かったかも知れない。入ったところのブースでプレゼンをやったり、アンケートに答えた人には記念品をプレゼントと呼び掛けるコンパニオンが多勢立っていて、うるさいし通り抜けるのに苦労した。 |
プレゼンは出展ブースの側でなく、別の部屋か、別にホテルか何かを借りて開くべき。アンケートに答えたら記念品をあげる・カタログをあげるというやり方は止めたほうがいい。うざったいだけ。これも日本だけのこと。いくらブースの側でやっても右から左。全く勉強にならない。 |
では、セキュリティ・ショーは全く駄目だったかというと、幾つかのブースでは参考になった。ソニーのブースでは“ソニー復活”と安堵した。 |
RAIDタイプのDVRをコムテックス、ソニー、松下、タノック、興和が出しており、やっと本物の長時間録画・保存が出来ると思った。いまのDVRの長時間録画・保存はほとんどマヤカシ。じっくりRAIDコントローラーの比較をしたいと思ったが、そういう環境下にはなかった。だいいち“さり気なく置いてあるだけ”といったカッコウだった。 |
池上通信機はJPEG2000を参考出品し、コムテックスはH.264を参考出品していたが、ライバル企業の技術者の評価を聞きたい。ご覧になった人は、メールで感想(評価)を知らせて欲しい。 |
気になったのは、相変らずほとんどのブースが製品を一杯飾り付けしてあるだけで、“この商品を、こういうところに、このように設置して、こういうように運用すれば、こういう効果がある”という説明が余りにもなかった。誰に向けての出展・PRなのだろうか。 |
だからカメラもDVRも記憶に残らない。Day&Nightカメラやスーパーダイナミックレンジなどのワイドレンジをうたうのが多かったが、ある社のブースで、“松下、サムスンがPRしているが、これを見て。内のは170倍”といわれて幕で覆われた中に入って見たら、たしかにいい。その人の評価は、内が1番、そして松下、サムスンだった。“だったら早く市場に出しなさい、市場をとられてしまうよ”といってやった。 |
印象に残ったのは、店舗プランニングの「レジ監視システム」。レジとDVRとカメラが連動されていて、レシートと同じ内容がモニターに表示され、DVRに記録される。欧米では当たり前みたいに使われているが、日本初のお披露目だった。多くの店舗関係者が足を止めて、デモンストレーションを熱心を見、細かく質問し、説明員の答えに満足していた。 |
ユニ電子工業は万引き防止装置を応用した部外者侵入検知システム「フリーパス」を出展したが、“これはいい”という声をかなり聞いた。(by 佐藤 伸) |
※会員向けページには、さらに詳しいレポートを6日に掲載します。 |