東京都府中市の分梅書店が、計約1万5,000円分のコミック本を万引きしたOLを相手取って万引き対策の防犯ミラー設置費なども合わせた総額23万円余の支払いを求める損害賠償請求訴訟を立川簡裁に起こし、OLが約7万円を支払うことで和解が成立したことが24日わかった。書店が万引き犯に防犯費用まで請求した訴訟は全国で初めて。 |
分梅書店は昨年2月、同市に住む20歳代のOLが同店からコミック本3冊(計1,170円相当)を万引きしたところを店員が取り押さえ同3月に警視庁・府中署に被害届を提出、同署はOLを窃盗容疑で書類送検した。在宅起訴されたOLは同7月に立川簡裁で懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を受けた。 |
しかし、同店では昨年10月、立川簡裁にOLが同店で常習的に万引きを繰り返してコミック本を少なくとも38冊盗み、古書店などに売却しており、OLを取り押さえる以前から不審な行動に気付いて店内に防犯ミラーを設置し、店員を1人増員して1日10時間の監視を3日間続けたことがあったとし、盗まれた本の代金だけでなく、防犯にかかった費用などもOLに請求。内訳は、(1)盗まれた本を1冊410円として計算して、計1万5,580円、(2)店内監視用に増員した店員の3日間分の日当2万5,000円、(3)防犯ミラーの設置費2万円、(4)警察の事情聴取に協力した店員らの日当1万1,900円、(5)弁護士費用16万円で、これら計23万2,480円の支払いを求め提訴した。 |
訴訟は翌11月、弁護士費用を除いた計7万2,480円をOLが同店に支払うことで和解が成立した。 |
経済産業省の02年の全国調査によると、書店1店当たりの万引きの被害額は年間約210万円で、監視カメラ設置や保安警備員の配置などの費用も書店経営の大きな負担となっている。 |