警察庁生活安全局は29日、6月20日から7月17日までの間、「特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律施行令試案」(以下「施行令試案」)及び「特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律施行規則試案」(以下「施行規則試案」)に対する意見の募集に対する結果の要旨及びそれに対する警察庁の考え方を取りまとめて公表した。 |
<施行令試案について> 1)意見の総数=21通 2)施行令試案に対する意見の要旨とそれに対する警察庁の考え方寄せられた意見は21通、類似のものは内容ごとにまとめた。また、1通の意見の中に複数の御意見が含まれている場合、それぞれの意見について件数を計上した。 |
(1)特殊開錠用具関係 (寄せられた意見の要旨) 針金を加工してつくる「カム送り解錠」や「サムターン回し」の用具を規制の対象に是非盛り込むべき。(1件) (意見に対する警察庁の考え方) 普通の針金に単純な加工を施しただけのようなものは、器具としての特定 性、明確性に欠けることから対象とすることは困難と考えられる。なお、指摘されるような用具を用いる犯罪に対しては、用具の規制ではなく、建物錠の防犯上の性能を向上させることによって対抗していく。 |
(2)指定侵入工具関係 (寄せられた意見の要旨) ドライバー、バール、ドリルはすべて身近な工具であり、広く存在しているもので、規制するのは不適当である。(3件) (意見に対する警察庁の考え方) 既に現行の軽犯罪法により、これらの工具を正当な理由がなくて隠して携帯することが禁止されている。今回の政令は、侵入犯罪の実態にかんがみ、建物に侵入するのに使用されるような器具のうち危険性が高い工具について、その危険性に応じた規制を行うために、一定の形状、大きさのものに限って指定侵入工具として指定するものである。なお、工事関係者が業務のために持ち歩くこと、一般の人が日曜大工のために持ち歩くこと、自動車に修理用として車載工具を登載しておくこと等は、いずれも特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律第4条の「業務その他正当な理由」に該当するため、違反には問われない。 |
(寄せられた意見の要旨) 工具の種類については、犯人による改造、高度化に対応できるよう常時見直しできる施行令を考えて欲しい。(1件) (寄せられた意見に対する警察庁の考え方) 規制の対象となる工具については、侵入犯罪の発生を抑止するため、侵入犯罪の実態に応じて適宜見直していく。 |
(寄せられた意見の要旨) 最近、「焼き破り」という侵入盗の新たな手口が使われ始めていることから、「ガスバーナー」も加えたほうがよい。(1件) (寄せられた意見に対する警察庁の考え方) 侵入犯罪の実態にかんがみ、現時点では「ガスバーナー」は指定侵入工具として指定しないが、今後の侵入犯罪の実態に応じて検討していく。 |
(3)指定建物錠関係 (寄せられた意見の要旨) シリンダー錠、シリンダー、サムターンについて、例えば、侵入被害が多く、また、標的にされやすい集合住宅の各住戸や戸建住宅の玄関錠に限定するなどの絞り込みが必要である。(1件) (寄せられた意見に対する警察庁の考え方) 住宅に限らず、事務所や店舗などの建物についても侵入犯罪が多発しているため、侵入犯罪の発生を抑止するためには、建物の種類を問わず、建物に使われるシリンダー錠、シリンダー、サムターンであればすべて防犯性能に関する表示をする必要があると考える。 |
3)その他 施行令試案とは直接関係ないが、次のような意見も寄せられた。 (寄せられた意見の要旨) 工事や修理といったことのために持つことは、「業務その他正当な理由」に該当するのか。また、所持許可証明書は発行しないのか。(5件) (寄せられた意見に対する警察庁の考え方) 警察として所持許可証明書等は発行しないが、工事・修理といったことのために特殊開錠用具を所持し、又は指定侵入工具を携帯する場合は、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律の違反には問われない。 |
(寄せられた意見の要旨) 現場の警察官の職務質問の判断について明確にして欲しい。(4件) (寄せられた意見に対する警察庁の考え方) 警察では、「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者、または既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる。」と定める警察官職務執行法第2条の規定に基づいて職務質問を行っている。 |
(寄せられた意見の要旨) 隠し持つという範囲について明確化して欲しい。(3件) (寄せられた意見に対する警察庁の考え方) 軽犯罪法において「隠して携帯」するとは、「普通では人の目に触れにくいような状態で携帯すること」を意味することとされており、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律における「隠して携帯」することもこれと同義である。 |
(寄せられた意見の要旨) 錠取扱業者に登録制を導入し、登録された者だけが特殊開錠用具を持って良いことにすべき。(3件) (寄せられた意見に対する警察庁の考え方) 錠取扱業者に関する業や資格の規制については、引き続き検討していくこととしている。なお、警察庁においては、ドライバー等の工具が一般の国民が日常生活に用いるものであることにかんがみ、取締りに当たっては権限の濫用にわたることのないよう、特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律の厳正な運用を行うこととしている。 |
以上のほか、次のような意見等が寄せられた。 ○厳しく取り締まるべき。(2件) ○空港にあるような透視機械のコンパクトなものを考案して人権侵害にならないような発見方法も考えて欲しい。(1件) ○中国製の金庫ドアがダイヤルあわせではなく、暗証番号入力でドアの開閉になっており、金庫ドアをマンション等に取り付けると、ピッキングでは絶対に開かない。(1件) ○扉の軽量化により軽量鋼板になったことに根本的な問題がある。(1件) ○犯罪者が困るような重い刑法を大至急作るべき。(1件) |