埼玉県警・吉川署の蝦名和三署長(56)が、昨年9月から、自らパソコンで執筆、編集する現代風瓦版「事件速報」を発行し、管内の自治会に配布している。地元で起きた事件をいち早く知らせ、防犯意識を高めてもらうのが狙い。 |
同署管内(三郷市、吉川市、松伏町)の人口は計22万人。署員220人で対応しているが、南北に28キロと細長く、千葉県、東京都と隣接するため、ひったくりや空き巣などの犯罪が後を絶たない。このため蝦名署長は「犯罪防止には住民の協力が必要」と考え、「事件速報」の発行を思い立ったという。刑事課から事件内容を“取材”し、署長室のパソコンで記事から見出し、レイアウト、表、イラストを作成。B4判にプリントし、翌日には犯罪発生の関連自治会に署員が配布している。 |
すでに19号を発行、一部は同署交通課が編集を担当した。内容は、ひったくりと空き巣関連を中心に、トラック盗難、「おれおれ詐欺」、車上狙いなどの情報を掲載している。例えば、2月15日号では「ひったくり激増 管内では本年19件被害」の見出しで、地域ごとのひったくりの発生状況を数字で示し「被害の90%が女性郵便局・銀行周辺が多い」と説明してある。被害防止策として「貴重品は必ず身につける」「歩行中、車道側にバッグを持たない」などと呼びかけている。 |
各自治会では、事件速報を町会の掲示板に張り、住民に注意を促している。蝦名署長は「瓦版が張り出された地域では、確かに犯罪の発生件数が減少している。今後も発行を続けたい」と張り切っている。 |