Secure-japan
header


診断
犯罪事例
セキュリティ情報
このサイトについて
 

原発事故 国と東電に賠償命令―札幌地裁

札幌地方裁判所(武藤貴明裁判長)は10日、東京電力福島第1原子力発電所の事故で北海道に避難した250人余りが生活の基盤を失うなどして精神的な苦痛を受けたと訴えた裁判で、「国が防潮堤の設置などを東京電力に命じていれば事故は避けられた」などと指摘し国と東京電力に総額約5,290万円の賠償を命した。
東京電力福島第1原子力発電所の事故で避難区域やそのほかの地域から北海道に避難した78世帯257人は、生活の基盤を失うなど精神的な苦痛を受けたとして国と東京電力を相手取り慰謝料など1人あたり1,650万円、総額約42億円の賠償を求めていた。裁判では、国と東京電力が大規模な津波を予測できたかどうかなどが争われた。

10日の判決で武藤裁判長は、「政府の地震調査研究推進本部が地震の長期評価を公表した平成14年の時点で国は津波の到来を予測することができた。その後、遅くとも平成18年までに防潮堤の設置や非常用電源の浸水対策などを東京電力に命じていれば原発事故は避けられた」と指摘した。そのうえで、「国の規制権限の不行使と東京電力の津波対策の不備が相まって事故が起きた」として、国と東京電力に対し原告のうち89人に総額約5,290万円を賠償するよう命じた。
原発事故の避難者が国と東京電力を相手取った集団訴訟は全国各地で起こされていて、1審で国の責任が認められたのは横浜地裁や松山地裁の判決に続いて7件目である。
判決について原子力規制庁の関雅之広報室長は、「国の主張について裁判所の十分な理解が得られなかったものと考えている。いずれにせよ原子力規制委員会としては、原発事故を踏まえて策定された新規制基準への適合性審査を厳格に進めていくことにより適切な規制を行っていく」とコメントした。
判決を受けて、被告の東京電力は「原発事故で福島県民の皆さまをはじめ、広く社会の皆さまに大変なご迷惑とご心配をおかけし改めて心からおわび申し上げます。判決については今後、内容を精査し、対応を検討して参ります」とコメントした。


footer