アメリカのトランプ大統領が、ウクライナ疑惑をめぐる権力の乱用と議会への妨害で弾劾訴追された。アメリカ史上、弾劾訴追された大統領は3人目で、これを受けて有罪か無罪かを決める弾劾裁判が年明けにも議会上院で開かれることになる。
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トランプ大統領の弾劾訴追は、日本時間の18日夜から19日午前にかけてアメリカの議会下院の本会議で審議され、午前10時30分頃、弾劾訴追する決議案が賛成多数で可決された。
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決議では、ウクライナ疑惑をめぐって、▽トランプ大統領が、自からの政治的利益のためにウクライナに圧力をかけた「権力乱用」と、▽議会による調査を妨害した「議会妨害」があったとして、大統領の罷免を求めている。
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弾劾訴追をめぐっては、野党・民主党と与党・共和党が、賛成と反対で真っ二つに分かれたが、議会下院は民主党が過半数を占めているため、▽「権力乱用」の条項は、賛成230、反対197、▽「議会妨害」の条項は賛成229、反対198と、いずれも賛成多数で可決された。
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弾劾訴追は一般の刑事事件の起訴にあたるもので、弾劾訴追された大統領は1860年代のジョンソン大統領、1990年代のクリントン大統領に次いで、アメリカ史上3人目。
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審議では、民主党のペロシ下院議長が「トランプ大統領は憲法に違反した。アメリカの安全保障にとって、今も脅威であることは紛れもない事実だ」と述べて、トランプ大統領を罷免すべきだと訴えた。
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一方、トランプ大統領は、議会下院で採決が始まる直前の午後8時頃、中西部ミシガン州の演説会場に姿を現し、「弾劾されるという気がしない。アメリカはかつてないほど繁栄しているし、われわれは何も間違ったことはしていない」と述べて、弾劾訴追は不当だと重ねて強調した。
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弾劾訴追を受けて、有罪か無罪かを判断する弾劾裁判が年明けにも議会上院で開かれることになったが、議会上院は、共和党が過半数を占めるため、トランプ大統領が罷免される可能性は低いとみられている。
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しかし民主党は、さらに攻勢を強める構えで、来年秋の大統領選挙を見据え、激しい攻防が続くことになるのは必至である。
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