世界貿易機関(WTO)の紛争処理手続きの「最終審」にあたる上級委員会は11日、韓国が東京電力福島第1原発事故を理由に福島など8県産の水産物輸入を禁止している問題に関する報告書で、日本の逆転敗訴となる判断を示した。
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韓国は2013(平成23)年の原発事故後、段階的に規制を強め、25年に青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の8県で水揚げ・加工された全水産物の輸入を禁止する措置に踏み切った。各国が輸入規制を緩和するなか、韓国のみが規制を強化したことに日本は反発。科学的根拠がないとしてWTOに提訴した。
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1審に当たる紛争処理小委員会(パネル)は2018年(昨年2月)、禁輸は「不当な差別」と認めて是正を勧告した。韓国側は不服として上級委員会に上訴していた。
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農林水産省によると、平成27年4月以降、8県産の海産物の放射性物質が1キログラムあたり100ベクレルの基準値を上回ったケースはないという。韓国以外にも中国、台湾、シンガポールなどが一部で輸入規制を続けるなどの措置を取っている。
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