福島第1原発の事故を巡り東京電力の旧経営陣3人が強制起訴された裁判で26日、検察官役の指定弁護士が最終的な意見を述べる論告が行われ、「最高経営層にも関わらず何ら対策を講じなかった責任は極めて重い」と指摘し3人に禁錮5年を求刑した。
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東京電力の元会長の勝俣恒久被告(78)、元副社長の武黒一郎被告(72)、元副社長の武藤栄被告(68)の旧経営陣3人は、原発事故を巡って検察審査会の議決によって業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴され、いずれも無罪を主張している。
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東京地方裁判所で開かれた26日の審理では、検察官役の指定弁護士が最終的な意見を述べる論告が行われた。
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指定弁護士はまず、これまでの3人の主張について「巨大な津波が到達するという計算結果に接していたのに、自ら情報収集することなく、『部下が報告してこなかった』と主張していて、責任を転嫁している」と指摘した。
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その上で、事故の3年前から2年前にかけて部下からの報告や会議で、巨大な津波が到達するという計算結果の報告を受けた段階で津波の到達を予測でき、原発の運転を止める義務があったと主張した。
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そして、「漫然と運転を続けた結果、事故を引き起こした。万が一にもあってはならない事故を起こし、最高経営層にも関わらず、何ら対策を取らなかった責任は極めて重い」と指摘し、3人に禁錮5年を求刑した。
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業務上過失致死傷の罪の禁錮刑としては、法律で定められた上限にあたる。
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裁判は27日も開かれ、被害者の遺族の弁護士が意見を述べる予定。また旧経営陣3人の弁護士らによる最終弁論は来年3月に行われることになっている。
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