警察庁は8日、虐待の疑いがあるとして全国の警察が2017年に児童相談所へ通告した18歳未満の子どもは6万5,431人で前年比20.7%増だったと発表した。統計を取り始めた04年以降、13年連続で増えた。生命への危険などを理由に警察が緊急に保護した子どもは3,838人で、04年以降9%増で過去最多だった。
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警察庁は16年4月に通達を出すなどして全国の警察に積極的な対応を促している。担当者は通告が増加している要因について「虐待対策の取り組みが強化されたほか、社会的関心の高まりもあり警察への通報が増えたため」と分析している。
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通告の内訳は、「心理的虐待」が4万6,439人で全体の7割を超えた。このうち3万85人は、子どもの前で家族に暴力をふるう「面前ドメスティックバイオレンス(DM)」だった。このほか「身体的虐待」1万2,343人、食事を与えないなどの「ネグレクト(育児怠慢・拒否)」6,398人、「性的虐待」251人だった。
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17年に事件化した虐待の被害者は1,168人(男子580人、女子588人)で、保護者ら1,176人を摘発(逮捕・書類送検)した。被害者のうち、死亡した子どもは前年比9人減の58人。容疑別の内訳は殺人が32件、傷害致死が11件だった。
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通報で警察官が現場に駆けつけたものの児相への通告に至らず、通報があった事実などを市町村など関係機関に情報提供した件数は2万2,705件で、前年より6,564件増えた。
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また、警察庁は17年の児童ポルノ事件の状況も公表した。摘発は2,413件(前年比15.1%増)、容疑者は1,703人(同11.2%増)でいずれも過去最多を更新。被害に遭った子どもは1,216人(同7.4%減)だった。
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被害のうち、加害者に脅されるなどして自分の裸の画像などをメール送信する「自画撮り被害」が42.4%で最多。「児童買春・淫行」16%、「盗撮」14.4%などだった。被害者のうち最も多かったのは高校生で39.2%。中学生36.3%、小学生18.7%、未就学児3%と続いた。
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