東京簡易裁判所は12日、大手広告会社「電通」をめぐる違法残業事件で労働基準法違反の罪で法人としての電通が略式起訴されたことに対して略式での手続きはふさわしくないとして正式な裁判を開くことを決めた。こうした対応は異例で、働き方改革の議論に大きな影響を与えた事件は今後、公開の法廷で審理されることになる。
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電通をめぐっては、おととし新入社員だった高橋まつりさん(当時24)が過労のため自殺し、東京地方検察庁は高橋さんを含む複数の社員に違法な長時間労働をさせていたとして今月5日、法人としての電通を労働基準法違反の罪で略式起訴し罰金刑を求めていた。
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これに対して東京簡易裁判所は、書類で審理を進める略式の手続きはふさわしくないとして、公開の法廷で正式な裁判を開くことを決めた。略式起訴された事件のほとんどは、簡易裁判所が罰金の支払いを命じる略式命令を出して手続きが終わるため、こうした対応は異例だが、最近では違法な残業をさせた罪で略式起訴された外食チェーンなど2つのケースで裁判所が正式な裁判を開いている。
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今回の判断によって働き方改革の議論に大きな影響を与えた電通をめぐる事件は今後、公開の法廷で審理されることになる。
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