最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は15日、警察が裁判所の令状を取らずに捜査対象者の車両に全地球測位システム(GPS)端末を取り付けた捜査は違法と結論付けた。窃盗事件の上告審判決で初判断を示した。最高裁はGPS捜査の実施に当たり、「新たな立法措置が望ましい」と言及した。
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最高裁は、GPS捜査を家宅捜索などと同様に令状の必要な「強制捜査」と位置付け、不要な「任意捜査」としてきた従来の警察の運用を否定した。地・高裁で結論が割れており判断が注目されていた。
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大法廷が審理したのは、2012(平成24)~13年に主に近畿地方で発生した連続窃盗事件。大阪府警は約7ヶ月間、被告の男(45)らの車両19台にGPS端末を取り付け追跡していた。GPS捜査が対象者のプライバシーをどの程度侵害するかが争点だった。
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弁護側は「立ち寄る場所から信仰する宗教など人の内面まで推認でき大きく侵害する」と主張。検察側は「公道を走る車両の位置情報取得は侵害が小さい」と反論した。
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1審大阪地裁は、違法と判断して得られた証拠を排除する一方、別の証拠から有罪を言い渡した。2審大阪高裁は「重大な違法はなかった」として控訴を棄却。
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最高裁は被告側の上告を棄却しており有罪は確定する。
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