警察庁が2日発表したところによると、昨年1年間の振り込め詐欺など特殊詐欺の被害額は約406億3,000万円(前年比15.7%減=約75億7,000万円減)で、2年連続で減少したことがわかった。一方、認知件数は還付金等詐欺が1.5倍に増えたこともあり、全体で1万4.151件(同2.4%増)と6年連続で増えた。警察庁は「被害額は減っているが、依然として高水準。件数も増えており、今後も徹底した対策を進めたい」としている。
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認知件数と被害額の内訳は、オレオレ詐欺が5.737件(同1.6%減)で約166億円(同5.2%減)、架空請求詐欺が3.759件(同8.2%減)で約158億2,000万円(同15.7%減)、還付金等詐欺が3,682件(同55.0%増)で約42億6,000万円(同67.4%増)などとなった。特殊詐欺全体の4割を占めるオレオレ詐欺は4年ぶりに件数が減り被害額も7年ぶりに減少した。
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還付金等詐欺の増加は全体の件数を押し上げたが、既遂1件当たりの被害額は約116万7,000円、全体平均の約306万9,000円より少なく、特殊詐欺全体の被害額は減少した。
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年齢別では65歳以上の高齢者の被害が1万1,041件(同3.8%増)に達した。被害者全体に高齢者が占める割合は78%となり、前年に比べて1ポイント上がった。
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検挙件数は4,449件(同8.2%増)で2年連続増。検挙人員は2,412人(同3.8%減)で過去最多だった前年に次ぐ水準となった。検挙された2,412人のうち、現金受け取り役は1.201人と半数近くを占めたが、リーダー格は80人にとどまった。
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事前に詐欺に気付いた被害者が、摘発のため警察の捜査に協力する「だまされたふり作戦」では896人が検挙された。
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還付金等詐欺は都道府県別で大阪(725件)、千葉(481件)、愛知(351件)、神奈川(263件)など大都市圏の被害が目立つ。
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警察庁は増加の理由について「コンビニなどのATM(現金自動預払機)を悪用するケースが増え、銀行員による声かけなどで対策を講じるのが難しくなった。注意を呼びかける店内放送や警備業者による見回りなどを徹底し、被害を減らしていきたい」としている。
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