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神奈川・相模原事件検証委が最終報告書を提出


今年7月26日未明、相模原市緑区の知的障害者の入所施設「津久井やまゆり園」で、入所者が刃物で刺されて19人が死亡、職員3人を含む27人が重軽傷を負った殺傷事件で25日、施設側の対応などを検証してきた委員会は、施設が利用者の生命の危険に関わる情報を認識しながら、神奈川県に報告しなかったことは非常に不適切だなどとする最終報告書を黒岩神奈川県知事に提出した。
この事件をめぐって神奈川県は、障害者福祉の専門家や弁護士などによる委員会で、施設側と県などとの情報共有が適切だったかどうかなどを中心に検証を進めてきた。委員会は7回の会議を経て最終報告書をまとめ、25日、石渡和実委員長が黒岩知事に提出した。
報告書では、施設側が、逮捕された元職員の男が衆議院議長宛てに犯行を予告するような手紙を送っていたことなどから、利用者の生命の危険に関わる情報を認識していたのに、施設の設置者である県に報告していなかったことは、「指定管理者として非常に不適切だった」と厳しく批判している。そのうえで、「県も含めた関係機関で協議する場があれば、より積極的な犯罪防止対策が講じられた可能性は否定できない」と指摘している。
そして今後の対応として、施設側に警察や県などとの情報共有の窓口となる危機管理担当の責任者を設けることや、県が社会福祉施設の防犯性を高めるための指針を定め、必要な安全管理体制の整備を推進していくことなどを求めている。
黒岩知事は「あすで事件から4ヶ月になるが、今回の報告を受けて施設側が犯罪予告などの安全管理の妨げとなるような事案を把握した場合には、県に報告するよう指針を改正し、危機管理の意識や情報共有を徹底したい。
補正予算を組んで監視カメラの設置や夜間の人員整備といった防犯対策も講じていく」と述べた。また、事件があった「津久井やまゆり園」の建て替えが完了するまでの入所者の移転先について、来年3月末に廃止する予定だった横浜市港南区にある県立「ひばりが丘学園」に決まったことも明らかにした。
検証委員会の委員長を務めた東洋英和女学院大学の石渡和実教授は、「19人もの障害者が亡くなったという事実を重く受け止めて、関係機関が人の命を守るという重要性を再認識し、それぞれの視点から対策を考え、今後の再発防止策の策定に生かしてほしい」と話した。
また、警察が、逮捕された元職員の男が衆議院議長宛て送った犯行を予告するような手紙の全文を施設側に見せていなかったことについて、「委員会での検証で手紙の内容を確認したが、非常に衝撃的なものだった。手紙そのものを見たかどうかで、施設側が危機管理の対応を変えた可能性もあったと私は考えている。情報共有のあり方を真剣に考えてほしい」と指摘した。
なお、相模原事件で逮捕された施設の元職員の容疑者の男(26)は障害者を冒とくする内容の供述を一貫して続けていて、現在は刑事責任について調べるための精神鑑定が行われている。鑑定は来年1月まで続く見通しで、検察は結果などを踏まえて起訴するかどうか判断することにしている。


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