福岡市は18日、福岡市のJR博多駅前の大規模陥没事故により休業などで損害を被った業者や個人への賠償について一部を最短10日程度で仮払いすると発表した。損害額が書類で確認できることが条件で、19日から専用電話窓口で申請を受け付ける。
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仮払いについて市は「年内にも応じる」としていたが、損害額が確認可能な場合はより速やかに応じることとした。対象は中小企業や個人。休業によって無駄になった食材費や休業中でも支払わざるをえなかった人件費、家賃などについて、領収書などで確認できれば一部を最短10日程度で支払う。5万円以内の少額被害にも同様に対応する。
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市は事故の要因となった地下鉄七隈線延伸工事を施工した大成建設を代表とする共同企業体(JV)とともに、15日から補償に関する専用電話相談窓口を設置している。17日までに129件の相談があったという。
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陥没事故で支払われる賠償金について、辞退を申し出た経営者がいる。はかた駅前通りに面する「タカラ薬局」(岡村由紀子社長)、現場そばにある「九州総合診療クリニック」(岡田享子院長)である。東日本大震災や熊本地震の被災地で支援活動に従事した経験から、「私たちの被害は小さかった。もっと他の必要なことに使ってほしい」と申し出たという。
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「タカラ薬局」には、事故が起きた8日、避難勧告が出た。9日には再開でき、休業は1日だけだったが、数十万円の損害が見込まれる。それでも賠償金を辞退した。岡村氏は「夜間、仕事をする作業員をよく見かけた。これからも頑張って、工事を進めてほしい」とエールを送った。
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「九州総合診療クリニック」も、避難勧告が出た8日は休診を余儀なくされた。9日に再開したが、数日間は来院者が普段より少なかった。それでもクリニック側は「東日本大震災や熊本地震と比べて被害が小さかった。自分たちがもらうより、別のことで街に役立ててほしい」と辞退した。
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