旭化成は8日、子会社の旭化成建材(東京)のくい打ち工事のデータ改ざん問題で、旭化成建材の現場管理や教育体制の不備が不正につながったとする弁護士3人で構成する外部調査委員会の中間報告書を公表した。
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データ流用に関し、現場担当者が多忙で、1棟が傾いた横浜市都筑区のマンションを担当する前から「データを流用する習慣が身に付いていた」と指摘。その上で、データの記録・保管の重要性への意識の低さなどを原因として挙げた。
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旭化成の浅野敏雄社長は、外部調査委の中間報告を受け、「早急に再発防止体制の構築に取り組む」とのコメントを発表した。
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外部調査委は、旭化成建材を「建設の安全性確保を重大な責務とする事業者として、責務を十分に果たしていなかった」と厳しく批判。報告のルール化など再発防止策を講じるよう提言した。
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マンション用地に以前にあった建物のくいの長さなどの情報について、旭化成建材は元請けの三井住友建設から「提供を受けていなかった」と明らかにした。くいを打ち込む場所に関しては、設計時から変更した箇所が「比較的多く見受けられる」とする一方、くいが固い地盤に到達しているかどうかは「現時点で断じることは困難」として言及を避けた。
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現場担当者がくいの不具合を隠す目的でデータを改ざんしたことを否定しており、くいが十分に打ち込まれたかどうかと、改ざんの関係性には「さらなる調査が必要」との見解を示した。
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旭化成建材は2005(平成17)~06年、三井住友建設による横浜市都筑区のマンション建設で2次下請けとしてくい工事を実施。複数の下請けから旭化成建材に出向した作業員らが工事を担当した。その後、傾きが生じていることが判明し、出向社員の現場責任者が施工データを改ざんしていたことが発覚した。
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報告書は、現場責任者が単独でデータを改ざんしたと認めた。この現場責任者にはデータ取得に失敗しても他データを流用する習慣があり、データの保管の仕組みがあいまいだったと指摘。現場責任者が多忙で、他の作業員との連携が不足していたことも影響したと言及した。
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本来、建設業法はこのマンションの規模の建設では専任の主任技術者の配置を規定しているが、旭化成建材は配置していなかった。
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