法務省は13日、「2015年版犯罪白書」を公表した。昨年1年間に刑務所に入所した2万1,866人のうち、65歳以上の高齢者の占める割合が統計を取り始めた1991(平成3)年以降初めて1割を超え2,283人となった。また、白書が今年特集した性犯罪の動向で過去30年の強姦と強制わいせつの検挙者の推移を見ると少年の割合が低下する一方、高齢者の数は前者で7.7倍、後者で19.5倍に増加。犯罪状況にも少子高齢化が反映しているとみられる。
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1年間の入所者に占める高齢者の割合は、91年には総数2万1,083人に対し274人で、わずか1.3%だった。
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一方、性犯罪の特集では、08(同20)年7月から1年間に懲役刑が確定した1,791人を対象に特別調査を実施。罪名や被害者の年齢などを元に▽単独強姦▽集団強姦▽強制わいせつ▽小児わいせつ▽小児強姦▽痴漢▽盗撮の7タイプに分類し傾向を分析した。
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事件当時の年齢は、強姦の47.3%、集団強姦の79.5%を29歳以下が占めた。一方で小児わいせつは45.1%、痴漢では51.3%が40歳以上だった。職業別ではどのタイプも有職者が6~8割で無職者や学生よりも多かった。学歴別では痴漢と盗撮では大学進学者が3割以上となるなど他のタイプに比べて高学歴者の割合が高かった。
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判決確定後5年間の性犯罪での再犯率を調べたところ、痴漢と盗撮が特に高く、それぞれ36.7%と28.6%。初犯では執行猶予がつくケースが多く、実刑となった場合でも刑期が比較的短いことが影響したとみられる。分析結果から白書は、「多様な問題性に応じた処遇の充実が必要だ」などと提言している。
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白書によると、昨年の刑法犯認知件数は176万2,912件で12年連続の減少。また、交通関連を除いた一般刑法犯の検挙者のうち高齢者は18.8%を占め、20年前の4.4倍となる4万7,252人。一般刑法犯に占める再犯者の割合は97(同9)年から上昇し続け、昨年は47.1%だった。
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