三省堂は30日午前11時から記者会見を開き、同社が公立の小中学校の校長などを招いて意見交換会を開き外部に見せることが禁じられている検定途中の教科書を閲覧させたうえで現金を渡していた問題について経緯を説明した。この中で「教科書に対する社会的信頼をゆるがしかねない行為で、深く反省している」と述べて謝罪するとともに、過去にも同じような会を開いて教員に現金を渡していたことを明らかにした。
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東京・千代田区に本社がある出版社の「三省堂」は、平成28年度から使われる中学校の教科書検定が行われていた昨年8月、都内のホテルに公立の小中学校の校長や教頭など合わせて11人を招いて意見交換会を開き、外部に見せることが禁じられている検定途中の教科書を閲覧させた。校長らの交通費や宿泊費、それに懇親会の費用なども三省堂側が負担していたほか、「編集手当」として1人当たり現金5万円を渡していたという。
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記者会見で同社の瀧本多加志出版局長は「教科書という非常に公共性の高いものに疑惑の目を向けさせた責任を痛感している。教科書や発行者への社会的信頼をゆるがしかねない行為で、深く反省している」と謝罪した。
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会見の中で同社は、同じような意見交換会を平成21年から22年にかけても合わせて6回開き、いずれも検定途中の教科書を見せたうえで参加した教員らに現金を渡していたことを明らかにした。
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ただ、学校現場での取り組みや教科書に望むことなどについて意見を聞いたりすることが目的で、参加した教員らに便宜をはかってもらうことが目的だったわけではないと説明した。そのうえで、今後はこうした意見交換会を開かないことを決め、教員とは公務員の倫理規定の範囲内で関わることなど再発防止策を検討していくとした。
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