地震の際に発生する「地震火災」について、専門家である名古屋大学の廣井悠准教授が今後30年間に発生する確率を示した全国の予測地図を初めてまとめた。東京や大阪では「ほぼ100%」となる地域があるなど、住宅が密集する大都市を中心に確率が極めて高いことが明らかになった。
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廣井准教授は4年前の東日本大震災で発生した239件の地震火災について、揺れの大きさと火災の原因、建物の数などとの関係を分析した。
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その分析結果と、政府が地域ごとに予測する強い揺れの地震が発生する確率を照らし合わせ、今後30年間に地震火災が発生する確率を10キロの区画ごとに予測する全国地図をまとめた。
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その結果、太平洋側を中心に発生の確率が高い地域が広がり、東京や大阪の住宅が密集する地域では「ほぼ100%」と確率が極めて高い地域があることがわかった。
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「ほぼ100%」となったのは、東京の周辺では中野区や新宿区を含む地域や品川区や世田谷区を含む地域、墨田区を含む地域、川崎市の北部を含む地域などで、大阪では大阪市や大阪・守口市などを含む地域。また、名古屋市の南部で96%、神戸市の中心部で72%、京都駅を含む地域で65%、福岡市の南部で62%、広島駅を含む地域で57%など都市部を中心に確率が高くなっている。
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日本火災学会の調査によると、東日本大震災では東京都内で35件の火災が発生するなど、震度5弱から5強の地域でも109件の火災が発生していて、このため発生確率が高くなったとしている。
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廣井准教授は「30年という期間で考えると地震火災の被害が起きる可能性が非常に高いことがわかった。特に都市部はリスクが高く、最悪を想定して対策を進めないといけない」と話している。
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