仙台市立の7つの図書館では1年間に1万冊を超える本や雑誌が「行方不明」になっていることが各図書館の集計でわかった。大半は心無い利用者によって不正に持ち出された盗難被害とみられ、「深刻な事態」と各図書館は頭を抱えている。 |
仙台市民図書館(青葉区)など7つの市立図書館の蔵書は約151万冊。それぞれ時期をずらしながら年に1度、蔵書の総点検を行っている。02年度分の点検結果がこのほど判明した。 |
正規の貸し出し手続きを経ないで同年度1年間で棚から消えた「不明本」は、7館合計で1万610冊。比較的小規模な広瀬、榴岡は少ないものの仙台市民、泉、宮城野、太白、若林の5図書館はいずれも2,000冊前後を記録した。 |
蔵書全体の143冊に1冊が被害に遭っている計算になる。1冊1,000円として考えると年間1,000万円を超える市民の財産が失われたことになる。不明本の集計は被害が増えたことを受けて初めて行われた。02年度以前の数字がないため比較はできないが、市民図書館の場合、01年にせんだいメディアテークに移って以降被害が目立つようになったという。 |
市の図書館は、利用者が本棚から自由に本を手にとって選ぶことのできる「開架式」を原則としている。多数の本が無断で持ち出されている実態は、運営の前提となる信頼が裏切られたことになる。 |