今国会最大の焦点である安全保障関連法案が16日午後1時からの衆院本会議で採決され、与党などの賛成多数で可決、参院に送付された。これにより同法案は、9月27日までの今国会での成立が確実となった。憲法解釈の変更により集団的自衛権行使を可能とする同法案の成立に道筋が付いたことで、戦後日本の安全保障政策は大きな節目を迎えた。
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衆院での審議継続を求める民主、維新、共産、社民4党は、与党の採決強行に抗議の意思を示すため採決前に退席。生活の党は冒頭から欠席した。次世代の党は賛成した。
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法案は9月14日以降、参院が60日たっても議決しない場合、否決したと見なして衆院で再可決できる憲法の「60日ルール」適用が可能となるため、今国会での成立は動かない情勢だ。
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安保法案は、自衛隊法など10本の改正案を束ねた「平和安全法制整備法案」と、自衛隊の海外派遣を随時可能にする新法「国際平和支援法案」の2本。整備法案を構成する武力攻撃事態対処法改正案は、集団的自衛権を行使する要件として、日本の存立が脅かされ、国民の生命などが根底から覆される明白な危険があると認められるケースを「存立危機事態」と新たに規定した。
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衆院審議の過程では、野党だけでなく、多くの憲法学者や内閣法制局長官経験者らが安保法案を「憲法違反」と指摘した。首相も15日の衆院平和安全法制特別委員会で「国民の理解は進んでいる状況ではない」と認めたが、16日の衆院通過は譲らなかった。
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