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ブラックバイトで塾講師が労組を結成

「ブラックバイト」問題-学生がアルバイト先で残業代が支払われないなど不当な扱いを受ける問題が相次いでいるが、生徒を個別に指導する塾の講師として働くアルバイトの大学生らが労働組合を結成し、労働条件の改善を申し入れることになった。この労働組合は、全国の塾で講師として働くアルバイトの大学生や労働問題に取り組むNPO法人のメンバーなど約30人が結成したもので、「個別指導塾ユニオン」と名付けられた。
学生などがアルバイト先で不当な扱いを受ける問題を巡っては「ブラックバイトユニオン」などの労働組合が結成されているが、「個別指導塾ユニオン」によると、生徒を1対1で指導する個別指導を売りにした塾で、講師として働く学生からの相談が目立って増えているため、業界を特定した組合を作ったという。授業の前後に働いても残業代が支払われないとか、講師の数が少ないため休みを取れないうえ、なかなか辞めさせてもらえないといった相談が多いという。
4日は、労働組合を結成したメンバーが、都内にある2つの個別指導塾の運営会社を訪れ、団体交渉を行うよう申し入れの文書を手渡した。申し入れを行ったあと渡辺寛人代表は「多くの個別指導塾で授業の準備などの時間は賃金が支払われないなどの問題が起きているので悩んでいる人は相談を寄せてほしい」と語った。
労働組合では会社側に労働条件の改善を求めていくほか、今月から電話相談を行って学生など塾で働いている人を支援していくことにしている。運営会社のうちの1社は「申し入れに対して誠意をもって対応したい」としている。
個別指導塾で講師のアルバイトをしているという大学院生の男性は、授業の準備などのために残業をしても、賃金を支払ってもらえないと訴えている。男性は、90分の授業ごとに1,850円、時給に換算して約1,200円の賃金を受け取っているが、実際には授業の準備や報告書の作成のため、毎回2時間から3時間ほどよけいに働いているという。男性は「『働いた分の賃金が支払われていないのはおかしい』と申し出たところ、『きみは子どもが好きでこの仕事をしているんだからお金のために働いているわけではないでしょ』と言われ、萎縮してしまった」と話していた。
男性は、アルバイト先から人手不足を理由に引き止められて、我慢しながら続けているという。男性は「担当する授業の数が多かったため大学の成績が落ちてしまったこともあったが、辞めたいと言っても人手不足を理由に辞めさせてもらえなかった」と話していた。
厚生労働省は、労働条件を確認して問題がある場合、行政の窓口などに相談するよう呼びかけるチラシを作成し、今年4月から全国約800の大学に配布している。このうち東京・千代田区の法政大学では、チラシを学生の目につきやすい学内の掲示板に貼り出している。問題となる事例として、毎晩のように残業しているが残業代が少ない、昼休みの時間がなく食事がとれないなどといったケースが書かれている。労働基準法などの法律はアルバイトにも適用され、大学側は掲示板のチラシに「アルバイトでも該当します」と記して、注意を呼びかけている。
塾で講師をしているという男子学生は「給与明細が出ず、もらおうとすると苦い顔をされたりするので、バイト代が思っていた額より少なくても請求しづらい」と話していた。また、居酒屋でアルバイトしていたという男子学生は「残業代も出ないのに日曜日のミーティングに出なければならず、強制されるのがつらくなって辞めてしまいました」と話していた。
学生アルバイトの問題に詳しい法政大学の上西充子教授は「学生が長時間働き、理不尽な目にあっていると見えてきたのはここ数年のことで、学生時代に起こりうる大きなトラブルの1つが『ブラックバイト』だと社会も学生も自覚する必要がある」と指摘している。そのうえで「学生のアルバイトであっても労働法で守られているので、法律を意識して働くことが自分の身を守る上で大切だ」と話した。


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