東京地裁(吉田徹裁判長)は25日、卒業式などの君が代斉唱時に起立しなかったことを理由に退職後の再雇用を拒否したのは違法として東京都立高校の元教諭22人が都に計約2億7,000万円の賠償を求めた訴訟の判決で都に計約5,300万円の支払いを命じた。吉田裁判長は「都教委の判断は合理性を欠き、裁量権を逸脱・乱用している」と述べた。
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判決によると、都教委は2003(平成15)年10月、職員に君が代斉唱時の起立斉唱を義務付け校長の職務命令に従わない場合は服務上の責任を問えるとの通達を出した。元教諭22人は起立せず戒告や減給の懲戒処分を受けた。退職後の07(同19)~09(同21)年、再雇用を申し込んだが認められなかった。
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判決は、都教委が再雇用を拒否した理由は「不起立」だけだと指摘。「起立斉唱命令は原告らの思想の自由を間接的に制約している。命令違反は再雇用拒否の根拠としては不十分」と述べた。その上で22人全員に、1年分の報酬211万~259万円の支払いを命じた。
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原告代表の元教諭(68)は判決後、「裁判所は都教委のひどい対応を認めてくれた」と話した。中井敬三・都教育長は「判決は大変遺憾」とのコメントを出した。
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最高裁は11(同23)年に校長の起立斉唱命令は「合憲」との判断を示しているが、再雇用拒否の妥当性についてはケースによって地裁、高裁で判断が分かれている。
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