経済協力開発機構(OECD)は21日、2013年の加盟国34ヶ国の所得格差に関する調査報告書を発表した。人口の上位10%の富裕層と、下位10%の貧困層を比べると、OECD平均では9.6%に格差が広がり、大半の国では格差は過去30年で最大になっていた。
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報告書によると、自営業者とともに、パートタイムや臨時雇用契約の増加が格差増大の大きな要因と考えられている。OECD加盟国における1995年~2013年の新規雇用の半分はこのグループに当てはまるという。
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さらに格差の増大に伴い、低所得層では学歴や技能の大幅な低下もみられる。このことを背景に、潜在的能力の「無駄」が増加し、社会的流動性も低くなっている。
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また、女性の賃金が男性の賃金より約15%低かったことから、雇用における男女平等の確保は格差縮小への1つの方法となると考えられるという。
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累進課税といったいわゆる「富の分配」も有効な選択肢として挙げられた。しかし、OECDは多くの国での既存システムがすでに機能していないことを指摘。その上で「これに対処するためには、富裕層と多国籍企業にも確実に税負担を負わせる政策が必要だ」と強調した。OECDは、租税回避に断固とした措置をとる国際的な取り組みで中心的な役割を果たしている。
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OECDはまた、より良い仕事へのアクセスを広げて、現役期間全体を通して教育と技能への投資を増加・促進するよう各国に呼び掛けた。
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同報告書によると、OECD加盟国の中で格差が一番大きいのはチリ、メキシコ、トルコ、米国、イスラエルで、格差が一番小さいのは、デンマーク、スロベニア、スロバキア、ノルウェーだった。
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