札幌地裁(長谷川恭弘裁判長)は26日、札幌ドーム(札幌市)内野席でプロ野球観戦中にファウルボールが当たり右目を失明した市内の30代女性が日本ハムなどに計約4,650万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で球団などに約4,190万円の支払いを命じた。原告側の代理人弁護士によると、同種訴訟で球団側に賠償を命じる判決は初めてとみられる。
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判決理由で長谷川裁判長は、球場の内野席とグラウンド間のフェンスは高さ約2.9メートルで、その上に防球ネットなどがなかったことをあげ、「大型ビジョンなどで注意喚起するだけでは不十分だった」と指摘。さらに「プロ野球が発展するためにも初めて観戦に訪れる者や幼児、高齢者も安全に楽しむことができる安全設備が施されるべきだ」と諭した。
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判決を受け、日本ハムは「野球観戦の本質的な要素である臨場感が失われることを懸念する。野球界全体に及ぼす影響も十分に考えられ、判決内容を精査し、控訴を視野に検討する」とコメントを発表した。
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判決によると、女性は2010(平成22)年8月21日、夫や子供3人と日本ハム対西武戦を観戦していた際、ファウルボールの直撃を顔に受け、右眼球破裂などの重傷を負った。
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ファウルボールをめぐっては11(同23)年、Kスタ宮城(現コボスタ宮城)でボールが当たり視力が低下したとして宮城県の男性が楽天などに損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は請求を退けた一審を支持、男性側の控訴を棄却している。
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