新潟大学災害・復興科学研究所の河島克久准教授と、信州大学理学部の鈴木啓助教授ら6人でつくる研究チームは12日、戦後最悪となった御嶽山の噴火で来年の春以降降り積もった雪がとけ火山灰とともに土石流を引き起こすおそれがあるとして、雪どけの状況などをきめ細かく把握するための観測機器を設置した。
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御嶽山では、9月の噴火で降り積もった火山灰の上に、これからの冬場雪が降り続くと見られていて、研究チームによると、来年の春以降大量の雪どけ水が火山灰と一緒になって流れ下り、土石流が発生しやすくなる恐れがあるという。このため研究チームでは12日、御嶽山の7合目にある登山口の駐車場に高さ約4メートル足場を作り、観測機器を設置した。
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今後、積雪の深さや気温、風速などを計測し、これらのデータをもとに1時間ごとにどの程度、雪がとけているかを割り出し、土石流発生の予測などにつなげたいとしている。新潟大学の河島准教授は、「機器を設置したことで得られるデータを地元の役場などにも提供し、災害を未然に防ぐことにつなげていきたい」としている。
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雪どけなどに伴う土石流の発生に備えて、御嶽山のふもとの長野県王滝村や木曽町では、噴火以降、新たに設置された監視カメラの映像を役場で監視していて、川の水量が増えていないかや水の濁り具合をチェックしている。また長野県と岐阜県では、今後合同の火山防災協議会を設立し、大規模な土石流が起きた場合の住民の避難計画などを検討していくことにしている。
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気象庁は、12月にかけて、火口からの噴煙を監視するカメラや地殻変動を捉える装置を周辺に設置することになった。このうち、これまで山の南東側に1ヶ所だけだった監視カメラは北西に約16キロ離れた岐阜県高山市の鈴蘭高原に臨時に設置し、2つの方向から噴煙などを確認できるようになる。また、山の膨張や収縮などの地殻変動を衛星で捉える観測装置は、山頂から西に約8キロ離れた山麓に設置する予定。
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総合観測班では、すでに名古屋大学なども地震計や衛星を使った観測装置を新たに設置していて、気象庁はこうした機器によるデータを活用して、観測を強化することにしている。
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