コンビニ大手のローソンが29日、首都圏などで高級スーパーを展開する「成城石井」を買収することで最終調整に入った。成城石井を傘下に持つ投資ファンドが売却か株式上場を検討していたが、ローソンを売却先に決めた。買収額は約565億円とみられる。ローソンは買収後も成城石井のブランドをそのまま活用する。商品調達や物流面で、ローソンのノウハウなどを入れ、収益をさらに向上する考えである。
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成城石井は11年に投資ファンドの「丸の内キャピタル」が買収。今年に入って同ファンドが売却先を探していた。ローソンのほか三越伊勢丹ホールディングス、イオンなどが買収候補に名乗りをあげたが金額面などで折り合わず、ローソンだけが残った形である。
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ただ、丸の内キャピタルが当初想定する金額には達していない。当初は成城石井を上場することも選択肢に入れていたが、最終的にローソンへの売却を決めた。
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成城石井はワインやチーズなどの輸入品や原料にこだわった総菜など比較的価格が高い商品を扱う食品スーパーで、首都圏をはじめ関西や東海に約120店舗を持っている。東京駅などの駅構内も出店しており、多様な出店形態で事業拡大を図っている。
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ローソンは成城石井をそのまま残すが、周囲の状況に応じてローソンの出店用地を成城石井に切り替えることも含めて協力する。事業の収益性をさらに引き上げてローソンとのシナジーをねらう考えである。
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ローソンは生鮮食料品などを扱う小型スーパー事業に今年から乗り出したが、店舗数はまだ少なく、成城石井の買収によってスーパー事業に本格的に参入することになる。
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国内で5万店を超えるコンビニは店舗数が飽和状態と指摘され、ローソンも全国に約1万2,000店を出店しているが、今年4月以降、業績の伸びが鈍くなっている。
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このためスーパー事業に新しい収入源を求めたうえで、スーパーとコンビニで食品の仕入れや運送などを共同で行うことで調達コストを引き下げ、収益力を高めたいとしている。
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