警視庁捜査3課は18日夜、古い玩具や漫画などを販売する古物商「まんだらけ」(東京都中野区)で25万円相当のブリキ製の玩具を万引きした容疑で千葉市内に住む50代の男の関与の可能性が強まったとして逮捕する方針を固めた。任意の事情聴取には「知らない」と容疑を否認しているという。
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男は4日午後4時50分頃、まんだらけ中野店4階のショーウインドーからゼンマイで動く「鉄人28号」(価格25万円)を万引きした疑いが持たれている。男はこの数日後、中野区内の別の店を訪れ身分証を示して万引きしたとみられる玩具を売却していたことが捜査員の聞き込みで判明し任意同行を求めた。まんだらけの防犯カメラに映った映像と男は極めて似ていたため容疑が浮上したという。
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同社は事件翌日の5日、監視カメラに映った男の顔にモザイクをかけた画像をホームページに掲載し、「12日までに返しに来ない場合は、モザイクを外す」と警告。しかし、警視庁・中野署が「捜査に支障が出る恐れがある」と再三にわたり画像を公開しないよう要請したことを受け13日未明にHPで公開の中止を公表した。
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一方、同社は12日午後7時頃に「商品を返しに行けば許してくれるのか」と万引きした男の母親らしい女性から電話があったとしていたが捜査の結果、任意同行した男とは無関係と判明した。
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今回の万引き事件を巡っては、同社が「12日までに返却しなければ顔の映った防犯カメラの画像をホームページで公開する」と警告。小売業者らから「小売店にとって万引きは死活問題で、抑止のためには仕方がない」と支持する声がある一方、弁護士などの専門家スジは「法治国家では私的制裁は禁じられており、やりすぎだ。名誉毀損の恐れがある」と批判するなど賛否が割れた。
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支持する意見の背景には、万引きの発生件数が近年高止まりし、小売店の経営を圧迫している事情がある。捜査幹部は「万引き事件は証拠が少なく、現行犯でないと逮捕は難しい」と指摘する。ある小売業者は「一つの商品を万引きされると、何倍もの営業努力が必要。犯罪抑止のために画像は公開すべきだ」と主張した。
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一方で、近代法治国家では刑罰を科す権利(刑罰権)は国家にあり被害者であっても個人にはない。画像を公開すれば、刑法の名誉毀損罪に当たる可能性もあり、「懲らしめなど私的な恨みを晴らすことが目的なら違法の恐れがある」とする弁護士もいた。
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同社の警告後、同社には多い日で1日約100件のメールや電話があり、8割は賛同する内容だったが、残りは「法律にのっとって対処すべきだ」など批判的だったという。
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