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14年版警察白書-窃盗の余罪が10年で55%減=否認事件、業務増加で

警察庁は1日、2014年版警察白書を公表した。「変容する捜査環境と警察の取組」と題した特集を組み、窃盗事件の余罪の摘発件数が10年間で55%減少した現状と、その背景にある否認事件や業務量の増加、捜査員の若年化といった環境の変化を解説。新たに研究している技術や捜査手法を紹介した。
白書によると、窃盗事件の摘発件数は昨年までの10年間で約18万7,000件(43%)減った。このうち「最初に取り調べた事件」は約4万8,000件(27%)の減少だったのに対し、その後の捜査で同一犯だと判明した「余罪」は約13万9,000件(55%)減っていた。
警察は余罪事件の95%で端緒を取り調べからつかんでいるため、近年は容疑者が否認を続ける事件が増えて「余罪に関する供述を得るのが難しくなった」ことを減少の一因に挙げている。
さらに、裁判で客観証拠を重視する傾向が強まった影響で、従来は必要なかった通信履歴の差し押さえなどの手続きが増加。相談など捜査以外の業務が増えたことも相まって、「取り調べに十分な時間を割くのが困難になっている」としている。
13年の刑法犯の摘発件数は前年比約1割減の39万4,121件で、戦後初めて40万件を下回った。このうち窃盗犯は25万4,822件で、02年に比べて14万9,050件も減少し、刑法犯全体の減少数の7割を超えていた。
窃盗犯の摘発が大きく減ったのは余罪の摘発が大幅に減っているためで、04年に比べると半減した。理由について、09年の裁判員制度の導入以降、法廷で客観証拠が重視されるようになったことに伴い、裏付け捜査の項目が増えて余罪の追及に手が回らなくなっていることや否認事件の増加を挙げている。
DNA型データベースについては、インターネットによる2,000人アンケートで初めて意識調査を実施した結果、「犯罪者については必ずDNA型データを保有すべきか」という質問に肯定的な回答が77.3%に上ったことも紹介。「データベースの更なる拡充と捜査への活用について期待していることがうかがわれる」と結論づけている。
振り込め詐欺など組織的犯罪への対策としては、部屋などに盗聴器を仕掛ける「会話傍受」や、警察官であることを隠して犯罪組織に潜入する「仮装身分捜査」といった新たな捜査手法にも言及。法相の諮問機関である法制審議会の特別部会は7月、取り調べの録音・録画(可視化)とともに通信傍受の対象拡大や司法取引導入を柱とした案をまとめたばかりだが、白書はより一層の捜査ツールの必要性を訴えた形である。


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