安倍首相は3日午前、北朝鮮が拉致被害者らを調査する「特別調査委員会」について、最高権力機関の国防委員会からすべての機関を調査できる特別な権限を与えられており、調査の実効性が確保されると判断できるとして、日本が独自に行っている制裁措置の一部を解除することを表明した。
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政府は、1日の北朝鮮との政府間協議を受けて、3日午前、首相官邸で、首相や菅官房長官らが出席して「拉致問題対策本部」の関係閣僚会議やNSC=安全保障会議を開いて対応を協議した。
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この後、首相は記者団に対し、拉致被害者を含むすべての日本人行方不明者を調査するため、北朝鮮が設置する「特別調査委員会」について「日朝交渉の結果、拉致問題を含めすべての日本人に対する調査が、国防委員会と国家安全保衛部といった国家的な決断を意思決定できる組織が前面に出るかつてない体制ができたと判断した」と述べた。
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そのうえで首相は、「行動対行動の原則に従って、日本がとってきた一部の措置を解除することとしたい。これはスタートでしかなく、全面的な解決に向けて一層身を引き締めて全力であたっていく」と述べ、日本が独自に行っている制裁措置の一部を解除することを表明した。
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解除されるのは、人の往来に関する規制や、日本から北朝鮮に送金する際に報告を義務付けている措置、それに人道目的の北朝鮮籍の船舶の入港禁止の3つで、政府は4日の閣議で決定することにしている。
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また、菅官房長官は3日午前の記者会見で、「今月1日に北京で開かれた日朝政府間協議を受けて、首相と岸田外務大臣、古屋拉致問題担当大臣との間で拉致問題に関する4大臣会合を開催し、その後、国家安全保障会議の9大臣会合を開催した。その結果、北朝鮮の『特別調査委員会』が、あす4日、立ち上げられ、すべての日本人に関する包括的、全面的な調査が開始される時点で、わが国が北朝鮮に対してとっている措置の一部を解除することを決定した。日本側がとることになる措置は、5月の日朝合意のとおりになるが、あすの閣議決定後に改めて正式に発表する」と述べた。
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