減少傾向を示すひったくりなど路上犯罪の中で、「車上狙い」が課題になっている。路上犯罪に分類される8犯罪のうち、7犯罪が前年比で大きく減少しているのに対して、ほぼ横ばいが続いているのである。駐車場の防犯対策の充実など新たな対策が求められている。 |
11月末現在、大阪府内の街頭犯罪全体の認知件数は14万9,613件で前年同期比8.4%減となっている。これに対して、車上狙いは4万8,925件で、わずか0.8%しか減っていない。5月以降、豊中、豊中南、箕面3警察署が合同で、車上狙いグループのメンバー8人を逮捕した。グループは昨年初めから約600件の車上狙いを繰り返したと供述したが、場所の大半が駐車場で、午前0時から午前7時頃の明け方までにかけてやったという。 |
大阪府警の分析によると、発生場所は駐車場が7割を超し、2割程度の2位の路上駐車を大きく引き離している。また時間では、午前0時を過ぎてから急増することがわかった。午後9時~午前0時が1割台なのに対し、同0~3時、同3~6時はそれぞれ2割を超し、合計で5割に迫っている。豊中署などが検挙したグループの狙いのように、「防犯対策の甘い駐車場に終夜止めている車」という被害車像が浮かんでくる。 |
大阪府警などは「府安全なまちづくり条例」に基づき、昨年8月から「防犯モデル駐車場登録制度」を始めている。屋外の駐車場の場合、フェンスなどによる周囲との区画、モニターと録画装置付きの監視カメラの設置、夜間の照明などの条件を満たせば、登録証を駐車場に掲示して「安全な駐車場」をアピールすることができる。 |
登録は増えつつあるとはいえ、府内に10万ヶ所近くあるとされる駐車場のうち66ヶ所にとどまっている。しかし、条件を整備して登録した駐車場では、犯罪の発生が激減している。02年中に登録した12駐車場でみると、01年から02年の登録までに56件の車上狙いなどに見舞われたにもかかわらず、02年の登録後から03年3月末までにわずか2件しか事件は発生していない。 |
大阪府警街頭犯罪対策室は「刑法犯の5件に1件が車上狙い。被害に遭わないために、現金はもちろんパソコンやゴルフバッグなど換金できるような荷物を車内に置かないようにしてほしい」とドライバーの防犯意識の向上も訴えている。 |