政府は18日の閣議で、特定の病気などよって正常な運転に支障が生じる恐れがある状態で死亡事故を起こした場合に罰則を強化する法律の適用対象となる病気について、一定の症状を示すてんかんや統合失調症などと定めた政令を決定した。
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昨年11月に成立した「自動車運転死傷行為処罰法」は、アルコールや薬物、特定の病気によって正常な運転に支障が生じる恐れがある状態で死亡事故を起こした場合に、懲役15年を上限に危険運転致死傷罪に準ずる新たな罰則を設けるなど悪質な運転による交通事故の罰則を強化したもの。
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政府は18日の閣議で、この法律の適用対象となる病気を定めた政令を決定した。それによると、適用対象となるのは▽意識障害や運動障害をもたらす発作が再発する恐れがあるてんかん▽安全な運転に必要な能力を欠く恐れがある統合失調症や低血糖症、そううつ病▽再発性の失神▽重度の眠気の症状を示す睡眠障害。
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ちょうど3年前に、栃木県鹿沼市で小学生の列にクレーン車が突っ込み、児童6人が死亡した事故では運転していた男が持病のてんかんを隠して免許を取り、病気の発作で事故を起こしたことが分かっていて、遺族が法改正を求めていた。この法律と政令は、来月20日に施行される。
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谷垣法務大臣は閣議のあとの記者会見で、「特定の病気に対する偏見を助長するという懸念を患者団体が持っているのは事実であり、今回の政令は特定の病名に着目するのではなく、運転の危険を招くという症状に着目する規定にした」と述べた。また、谷垣大臣は、栃木県鹿沼市の事故からちょうど3年になることについて「改めて亡くなった方々のご冥福を祈りたい。今後、法律を具体的に適用するにあたり、司法や取り締まりの現場でいろいろなことがあると思うが、運用に心していくことが大事だ」と述べた。
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