静岡地裁(村山浩昭裁判長)は27日、1966年に静岡県で一家4人が殺害、放火された「袴田事件」で強盗殺人などの罪に問われ、死刑が確定した袴田巌死刑囚(78)の第2次再審請求審で再審開始を認める決定をした。
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逮捕から48年、判決確定から34年を経て、裁判のやり直しが決まった。確定死刑囚の再審開始決定は05年の名張毒ぶどう酒事件以来、戦後6例目。地裁の決定に対して検察側は即時抗告が可能で、その場合、東京高裁で改めて再審開始の可否が審理されることになる。
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2次請求審で弁護側は、現場近くのみそ工場タンクから発見され、確定判決が犯行着衣と認定した5点の衣類のDNA型鑑定結果などを再審を開始すべき明白な新証拠に当たると主張していた。
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鑑定では、5点のうち半袖シャツに付着した犯人のものとされる血痕について、弁護側と検察側が推薦した鑑定人2人が、同死刑囚のDNA型と完全に一致するものはなかったとした。ただ、検察側鑑定人は「検出したDNAは血痕に由来するか不明」と信用性を否定した。
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弁護側は鑑定結果を基に、「付着血液は袴田死刑囚のものではない」と主張。検察側は鑑定について、「試料は経年劣化していて血液の付着を識別できず、信用性がない」と訴えていた。
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弁護側は、2次請求審で新たに開示された捜査報告書に、同じ社員寮にいた同僚が「(事件後の)火事をサイレンで知り表に出る時、(袴田死刑囚が)後ろから来ていた」と話したとする記載があったことなどを挙げ、アリバイの成立も主張した。検察側は、同僚の発言は犯行後のことで、アリバイの裏付けにはならないと指摘していた。
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