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強制送還のガーナ人男性死亡は入管職員の違法な制圧行為で

東京地裁(小林久起裁判長)は19日、4年前に日本での在留期限が切れたガーナ人男性(当時45歳)が成田空港から強制送還される際に急死したのは東京入国管理局の職員の過剰な制圧行為が原因だとして日本人の妻(52)ら遺族が国に約1億3,000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で小林裁判長は「入管職員の違法な制圧行為による窒息死だった」と認定し国に約500万円の支払いを命じた。男性は10年3月22日、複数の入国警備官に付き添われて飛行機に乗せられ離陸前に死亡した。
判決は、ほぼ無抵抗の男性に入管職員が制圧行為をしたと判断。「危険性の大きさが、制圧の必要性と相当性を明らかに超えており、違法」と結論づけた。強制送還のあり方や入管行政の人権配慮への姿勢が厳しく問われる判決となった。
法務省の報告書では、手足に手錠をされ、タオルで口を猿ぐつわのようにふさがれて、座席で前かがみに押さえられていた。さらに両手首はプラスチック製の結束バンドでズボンのベルトに固定されていた。
判決は同様に事実を認めた。男性が搭乗前には送還を拒む振る舞いをしていたが機内ではほぼ無抵抗だったとも指摘し、「猿ぐつわによる呼吸の制限と、膝に顔が近づくほど深く前かがみになる体勢を強制されたことによる胸郭や横隔膜の運動制限が相まって呼吸困難で窒息死した」と認定。国側の「死因は心臓の腫瘍による不整脈。制圧行為と因果関係はない」との主張を退けた。
他方、男性が護送中、飛行機に「絶対乗らない」との発言を繰り返していたなどとして「違法な制圧行為を自らが誘発した面は否めない」と指摘。国が賠償すべき額を損害額の2分の1にとどめた。
男性は1988年に短期滞在の資格で来日し工場などで働いていたが、06年に出入国管理法違反(旅券不携帯)の容疑で逮捕された。死亡をめぐっては10年12月、千葉県警が警備官10人を特別公務員暴行陵虐致死容疑で書類送検。しかし千葉地検は12年7月、全員を不起訴(嫌疑なし)とした。遺族は再捜査を求めて検察審査会への申し立てを検討している。
法務省入国管理局は「判決内容を十分検討した上、今後の対応を考えたい」とのコメントを出した。


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