警察庁が6日までにまとめたところによると、昨年1年間の振り込め詐欺を含む「特殊詐欺」の被害総額は、最多だった12年を約122億5,000万円(33%)上回り、約486億9,000万円で過去最悪(暫定値)となったことがわかった。息子や孫などを装う「オレオレ詐欺」が前年に比べ5割増加したほか、1件当たりの被害額が大きい傾向がある「手渡し型」が横行したことが主な要因となっている。摘発人数も過去最多の1,805人だったが被害の急増に追いついておらず、警察は首謀者の摘発強化を進めることにしている。
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全国の警察が把握した特殊詐欺事件(未遂含む)は前年比38%増の1万1,998件。被害者の85%が60歳以上だった。事件の類型別ではオレオレ詐欺が全体の件数の44%を占め、被害総額も前年比52%増の170億7,000万円だった。
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警察庁によれば、オレオレ詐欺は従来、銀行の窓口やATM(現金自動預払機)から振り込ませる手口が主流だったが、金融機関や警察がATMの1日当たりの利用限度額を引き下げるなどの対策を進めたこともあり、最近は直接取りに来る手渡し型にシフトしている。
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手渡し型の割合を巡っては13年の特殊詐欺全体の手口別で42.7%となり、初めて最多になった。オレオレ詐欺に限ると前年比約27ポイント増の77%を占めた。1件当たりの被害額でみる、「振り込み型」が204万円なのに対し、手渡し型は401万円でほぼ倍だった。
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また、現金を宅配便やレターパックで送らせる手口が、特殊詐欺のいずれの類型でも増えた。特に株や金融商品の購入を持ちかける詐欺では、前年比26ポイント増の43%を占めた。同庁は「現金書留以外に現金の郵送は認められていない。『レターパック、宅配便で現金送れ』は全て詐欺」と注意を促している。
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※特殊詐欺とは:電話やメール、パンフレットなどで現金をだまし取る詐欺の総称。警察庁は06年の統計から、▽オレオレ、▽架空請求、▽融資保証金、▽還付金-の4類型を「振り込め詐欺」と分類した。しかし、▽金融商品取引を仮装、▽ギャンブル必勝法の提供を装う、▽異性との交際をあっせん-などの類似詐欺が10年頃から増加したため、11年に振り込め詐欺と併せて特殊詐欺と命名した。
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