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3・11大津波で園児5人死亡、幼稚園側に賠償命令


仙台地方裁判所(齊木教朗裁判長)は17日、東日本大震災の大津波で宮城県石巻市の幼稚園のバスが津波に巻き込まれて園児5人が死亡し一部の遺族が幼稚園側に損害賠償を求めた裁判で、遺族の訴えを認め幼稚園側に1億7,600万円余りの支払いを命じる判決を言い渡した。東日本大震災の津波の犠牲者の遺族が企業や学校などに損害賠償を求めた裁判で判決が言い渡されたのは今回が初めて。
一昨年の大津波で、宮城県石巻市の日和幼稚園の送迎バスが津波に巻き込まれ園児5人が死亡し、このうち4人の遺族が幼稚園を経営する学校法人と当時の園長に合わせて2億6,600万円余りの損害賠償を求めた。
遺族側は、大津波警報が出ているなか高台にあった幼稚園からバスを海側に走らせたのは、安全配慮の義務に違反するなどと主張したのに対し、幼稚園側は「千年に1度と言われる大津波を予見することは不可能だった」などと主張し全面的に争ってきた。
判決で、齊木教朗裁判長は、遺族の訴えを認めて幼稚園を経営する学校法人と当時の園長に対し合わせて1億7,600万円余りの支払いを命じた。
判決理由で齊木裁判長は、「巨大地震の発生を予想できなかったとしても、およそ3分間にわたって続いた巨大地震を実際に体感したのだから、バスを海側に出発させるにあたって、ラジオや防災行政無線を通じて津波などの情報を積極的に集める義務があった。しかし、園長が十分な情報を収集せずにバスを海側に出発させたため園児が津波に巻き込まれる結果になったと言える」と指摘した。
東日本大震災の津波の犠牲者の遺族が企業や教育機関などに損害賠償を求めた裁判で、判決が言い渡されたのは今回が初めて。
判決のあと、原告の1人で、当時6歳の次女、春音ちゃんを亡くした西城靖之さん(45)は「自分を信じてこれまで闘ってきたが、司法の場で認められてよかった」と涙を流しながら話していた。また、母親の江津子さん(38)は、「これで一区切りになります。亡くなった娘によい報告ができるし、供養できると思います」と話していた。
一方、被告の幼稚園側は判決後、「予想していなかった判決で、主張を理解してもらえなかったのは残念だ。今後の対応は、判決の内容を検討して考えたい。判決の内容に関わらず、園児を亡くした悲しみに変わりはない」とするコメントを出した。


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