横浜市が繁華街などに設置している監視カメラ252台のうち、約4割は運営費不足を理由に稼働させていないことが17日わかった。市内では6月1~3日に第5回アフリカ開発会議(TICAD5)が開催される予定だが、神奈川県警は「万が一、テロや事件が起きたら、事後捜査に大きな影響が出る」と懸念するが、市は「重要な場所では稼働させており、問題ない」と説明しているという。
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市総務局危機管理室によると、監視カメラは07年、テロ対策や災害対応を目的に設置費用など約4億3,000万円をかけて運用が始まった。TICAD5の会場となる「みなとみらい地区」やJR横浜駅など市内5ヶ所の繁華街周辺にカメラが設置され、全台が光ファイバー回線で市消防局消防司令センターと結ばれ即時に映像を転送できる。
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07年当時、TICAD4(08年)、アジア太平洋経済協力会議(10年)などを控えて監視カメラ網整備は大規模な国際会議を誘致するための目玉事業の一つだった。
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その後、市は財政悪化を理由に運営費を節減。07年度は年間約1億3,000万円だったのが、12、13年度は約1,000万円になった。映像を送る通信費などで1台あたり年間約20万円かかるが、12年度以降は市総務局内などで予算をやり繰りして費用を捻出し約6割を動かしている。市危機管理室は「どのカメラが稼働しているかは見た目では分からず、稼働していなくても犯罪抑止効果はある」と説明している。
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これに対し、神奈川県警は全台稼働を希望。川崎市のJR川崎駅周辺などの県警管理の監視カメラ約100台は全て稼働させているといい、昨年、横浜市が稼働台数削減を通告した際に「捜査に支障を来す」「TICAD5もある」と抵抗したが判断は覆らなかったという。
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