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円安が進んでも国内設備投資は慎重
関係省庁の動き、民間企業の動き

10日の東京外国為替市場は、9日の海外市場でアメリカの景気回復への期待からドルが急速に買われた流れを受け継いで円安ドル高が進み、円相場は約4年1ヶ月ぶりに、1ドル=101円台まで値下がりしている。
☆これを受けて甘利経産大臣は「輸出企業は市中に還元」を要請した。
円相場が1ドル=100円台まで値下がりしていることについて甘利経済再生担当大臣は10日、閣議後の記者会見で、「アメリカの雇用統計が予測を超えてよかったことなど、アメリカの景気回復の兆しがかなり強いものになってきたことで、ドル買いが進んでいる。日本経済も堅調に回復の途上にあり、市場が指標をにらみながらレートが決まっていくと思う」と述べた。
そのうえで甘利大臣は、円安の進行で輸入品の価格が上がるなどの影響が出始めていることについて、「円安による国民生活への影響は国会でも指摘されているが、輸出企業は堅調に業績を上げているので、それが市中に還元されていくように、政府からも引き続き要請していきたい。個々の輸入物価の上昇による影響については、関係省庁で対応できる部分は対応していく」と述べた。
☆林農水大臣も円安影響に万全の対策を強調
林農林水産大臣も閣議後の会見で、「円安に伴う漁船の燃油や飼料用穀物の価格高騰が漁業や農業の経営に悪影響を及ぼしている。原油や穀物の価格の動向と円安の動向の両方が農業漁業に及ぼす影響についてしっかりと注視しながら対策を万全にしたい」と述べ、今後の為替動向などを見極めながら追加の対応策を検討していく考えを示した。
☆一方、円安が進んでいるなかで国内設備投資は慎重な声が相次いでいる。
今年3月期の決算発表では、海外で広く事業を展開する自動車メーカーを中心に円安で収益が改善した企業が相次いが、そうした企業の間でも実体経済の回復への鍵を握るとされる国内での設備投資には、なお慎重な姿勢がみられる。
自動車メーカーの「スズキ」は、円安で海外事業の収益が押し上げられることなどから、来年3月期の業績予想では、本業での儲けを示す営業利益が過去最高の1,500億円に達する見通しを示している。
この会見で鈴木修会長は、「今まで続いた円高の中で海外で現地生産をしないとどうにもならないので海外で設備投資をしてきた。にわかに円安になったから国内に戻せと言われても国内には戻せない」と述べた。
「三菱自動車工業」も、来年3月期の業績予想で、最終的な利益が過去最高を見込んでいるが、会見で益子修社長は、「人口が減少している国内で内需拡大を期待することは難しい。国内の生産能力を増やすことは難しく、維持することで精いっぱいだ」と述べた。
今年3月期の決算で、売り上げと営業利益ともに過去最高を更新した「富士重工業」の吉永泰之社長も、「短期的に為替が動いたから国内生産を増やそうとは考えていない」と述べ、販売の拡大が見込める海外で車を作る「現地化」を進めていく考えを強調した。
自動車以外の業界でも、大手化学メーカー「三菱ケミカルホールディングス」の吉村章太郎副社長が、「設備投資は、需要があって採算性が取れて踏み切れるが、そういう形にはまだなっていない」と述べるなど、国内での設備投資には慎重な声が相次いでいる。
☆円安で電気とガソリンは値上がり
急速な円安の影響で原油やLNG=液化天然ガスなどの輸入価格が上昇しているため、電気料金やガソリンの小売価格なども値上がりしている。
電気料金は、直近3ヶ月の燃料の輸入価格を踏まえて毎月、見直されている。東京電力の場合、1ドル=79円で計算した昨年11月分の電気料金は平均的な家庭で7,464円だったが、1ドル=91円で計算した来月分は1ヶ月当たり7,804円となる。この7ヶ月で340円値上がりした。
一方、レギュラーガソリンの小売価格は、昨年11月末は全国平均で1リットル当たり145.5円だったが、円安を受けて値上がりし、3月初めには156.2円となった。その後、原油価格の下落などから平均の小売価格は値下がりして、今月7日の時点では152.5円となっている。
石油情報センターによると、原油が1バレル=100ドルと仮定すると、1円の円安で原油の輸入価格は1キロリットル当たり600円程度上昇するということで、円安の進行で再びガソリン価格が上昇する可能性もある。


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