県内の警察官の3人に1人が50代、署員50人以下の署が14署もあることから、新潟県警本部が犯罪の増加や警察官の高齢化といった構造変化に対応する「警察署再編整備計画」の基本構想案を3日、明らかにした。市町村合併に併せて警察署を統廃合する考えだが、県民の意見を募るために公表された資料からは、県内の犯罪動向と、それを取り締まる県警の実情がわかる。 |
02年の県内の110番通報の受理件数は9万5,330件。これは89年(5万6件)の2倍近い数字である。このうち殺人や強盗といった凶悪犯罪は280件で、やはり89年(143件)の倍近くに達している。外国人犯罪の検挙人数は9倍にのぼっている。 |
現在、県内の警察官の3人に1人は50代で、組織の高齢化は急速に進んでいる。安保闘争などで日本中が騒然とした60年代に大量採用した後、増員を抑制してきたためである。このままいけば07年から17年にかけて現職の半数近くが退職することになる。退職者の穴埋めは新規採用でまかなうが、ベテラン警察官の減少には県警内部からも不安の声が上がっている。 |
現在の県内の警察署は33署。72年に柿崎署(柿崎町)が上越北署に統合された以外は、数も配置も54年の警察法施行以来、まったく変わっていない。 その結果、通報が1日に1回というのんびりした署もあれば、新潟東署のように1日に約50件もの通報があり、人身事故だけでも1日約6件起きるといった忙しい署もあり、署間のアンバランスは増幅している。 |
署員の数は忙しい署ほど多く配置されるが、50人以下の小規模署は14署もある。広域化、スピード化している犯罪に小規模署の捜査体制や当直体制で十分な対応が可能かという懸念もあり、構想案は、再配置の必要性も訴えている。 ちなみに全国の警察署1署あたりの管内人口は平均10万人ほどである。県内では1署あたり約7万5,000人である。管内人口5万人以下の署が12署ある。 |
再編整備計画では、現在の110市町村を3分の1にまで統合しようという大合併を機に警察署の統廃合を行う計画である。こうした合理化の試みは、香川県や鳥取県をはじめ、全国各地で進められている。県警は、今回の構想案について県民の意見を募り来年2月には計画の基本構想を策定する。そこで再び意見を募集し、4月頃には具体的な実施計画を立てる方針である。 |
しかし、治安が悪化している中での合理化に対しては今後、総論から各論に議論が移り、具体的な再編計画が示された段階で、地域の住民から不満や反発が出ることも予想される。構想案は警察本部や各警察署で閲覧できるほか、県警のホームページでも見ることができる。 |