ローマ法王庁(バチカン)が、ローマ法王ベネディクト16世が高齢のため引退すると正式に発表した。法王の辞任は約600年ぶり。バチカンのローマ法王庁によると、ローマ法王ベネディクト16世は11日に行われた枢機卿を集めた会議で、今月28日をもって法王の座を退くことを明らかにした。
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ベネディクト16世は、この場で枢機卿たちに対し、「何度にもわたって神に対し良心に照らして考えた結果、高齢に達している我が身が法王としての職務を達成することができないという確信を持った」と述べて、今月28日の午後8時を持って法王の座を退く意向を表明したという。
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ベネディクト16世はまた、「素早い変化に見舞われ、信仰にとってとても大切な問題に揺れる今日の世界では、ローマ法王には心身ともに活力が必要であるが、私にとってそうした活力がここ数か月弱ってきており、私に与えられた職務を遂行することができなくなった」と述べたという。
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ベネディクト16世はドイツ出身で85歳。05年にヨハネ・パウロ2世が死去したのを受けて、265代目のローマ法王に選ばれた。就任時に78歳と最近のローマ法王としてはとりわけ高齢だったことに加え、最近では健康不安がしばしば取りざたされていたが、これまでの歴代の法王は死去するまで法王を続ける場合がほとんどで、在任中にみずから辞任を表明するのは極めて異例だという。
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ベネディクト16世は1927年、ドイツ南部のバイエルン州にある小さな町で警察官の息子として生まれた。 14歳の時、当時のドイツで参加が義務付けられていたナチスドイツの青少年組織、ヒトラーユーゲントに加わり、戦争中にはナチスのエリート部隊への入隊を誘われたが、聖職者への道を歩みたいとして拒否し、戦争終結を前に軍を除隊したという。その後、前の法王のヨハネ・パウロ2世を20年以上に渡って側近として補佐したあと、ベネディクト16世は05年4月に第265代のローマ法王に就任した。
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初めてのミサでは、異なる宗教や文明の間の対話を進めていく方針を強調し、初めての外遊先として訪れた故郷のドイツでもイスラム教徒の代表者と面会し、キリスト教徒とイスラム教徒が協力してテロの根絶に努力することが必要だと強調するなど、宗教間の対話に努めた。
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