1995年に当時の国松孝次・警察庁長官が東京・荒川区の自宅のマンションの前で拳銃で撃たれて大怪我をした事件は2010年3月に公訴時効が成立したが、その後に警視庁がオウム真理教のテロと断定した捜査結果を公表したことについて東京地方裁判所は15日、「不起訴になった事件で、犯人と断定して公表したことは重大な違法性がある」と指摘し東京都に対しオウム真理教から名前を変えた教団に100万円の賠償と謝罪文を出すことを命じた。
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この事件で警視庁は、時効直後に「オウム真理教による組織的で計画的なテロだ」と断定した捜査結果を公表したため、オウム真理教から名前を変えた教団アレフが、名誉を傷つけられたと訴えていた。
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東京地裁の石井浩裁判長は判決で、「不起訴になった事件で犯人を断定して公表することは、日本の刑事司法制度の原則を揺るがすもので、重大な違法性がある」と判断した。
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さらに、「一般にアレフはオウム真理教と実質的に同じ団体だと認識されていて、捜査結果の公表で社会的評価が低下した」として、東京都に100万円の支払いと謝罪文を出すことを命じた。
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判決について、アレフの荒木浩広報部長は会見で、「正当な判決だが、当たり前のことを言っているにすぎず、警視庁などは今回のことを真剣に反省してもらいたい。東京都は間違っても控訴すべきではない」と話した。
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一方、警視庁の前田守彦訟務課長は、「主張が認められなかったことは残念。判決内容を検討したうえで対応を決めます」とコメントした。
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